NPO法人?NPO?NGO?色々あってよくわからないから教えてください。
この記事では、NPO法人の「基本」について簡単に解説していきます。
「NPO法人とは」、「定義、NGOとの違い」、「設立するには?」など、目次から気になるところをチェックしてみてください。
NPO法人の最新データや団体詳細などもっと詳しく知りたい方は、内閣府のNPOホームページもチェックして見てください!
NPO法人とは
まず、内閣府の「NPOホームページ」には以下のように書かれています。
特定非営利活動法人(NPO法人)制度とは
特定非営利活動促進法は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、 ボランティア活動をはじめとする市民の自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的として、平成10年12月に施行されました。
法人格を持つことによって、法人の名の下に取引等を行うことができるようになり、団体に対する信頼性が高まるというメリットが生じます。(中略)NPO法人が市民の身近な存在として、 多様化する社会のニーズに応えていくことがますます期待されています。
つまり、NPO法人とは、20種類の特定非営利活動を通じて、多様化する社会のニーズに応えていく市民の自由な社会貢献活動を行う、市民の身近な存在としての団体です。
その団体が法人格を持つことで、信頼性を高め、健全な発展を促進していくことをねらいとしています。
特定非営利活動の分野は子ども分野・環境分野・国際協力など20あります。(一覧は下に掲載↓)
NPO?NPO法人?違いは?
NPOってNPO法人のことではないんですか?
NPOはnon-profit organization、非営利団体という意味ですが、
not for profit organizationということもできます。「営利を目的としない組織」という意味になります。
非営利団体と聞いたときにボランティアですべて無償でやる団体と最初は思ってしまうこともありますが、そうではありません。(有給スタッフとして働いている人もいます!)。
NPOで働く人の給料について知りたい人はこちらもぜひご覧ください
脱線しましたが、
つまりNPO(非営利団体)とは、「利益を出さない」ではなく「利益を目的としない」ということです。考え方としては対極に利益を追求する株式会社があるということですね。
(ソーシャルベンチャーなど営利が一番ではなく社会課題解決を目的としている企業も増えてきているのですが、その話は別の記事でご紹介できたらと思います)
非営利にもいろいろある?
さて、NPOという言葉。NPO=NPO法人と思いきや、そうではありません。
NPO、営利を目的としない団体は広い意味では、自治会など地縁団体や生活協同組合も非営利団体なのです。
こちらは生協のホームページに書いてあることばです。
組合員への最大奉仕と非営利の精神
生協の事業は、組合員のくらしに奉仕するものでなければならず、営利目的に事業を行ってはならない、としています。
日本生活協同組合連合会ホームページから引用 https://jccu.coop/about/organization/
上の図をご覧ください。
生活協同組合、社会福祉法人、社団法人・財団法人など営利を目的としていない団体の種類は実はいろいろとあります。
日本のNPOの定義は・・・
ただし、日本で「NPOは・・・」と言う場合は、上記の図のなかで、ボランティアや市民活動を行う団体「狭い意味のNPO」を指すことが一般的です。
つまり、NPOとNPO法人の違いは、NPOはボランティアや市民活動を行う団体を指し、NPO法人はその中に含まれる。ということです。
とはいえ、最近では、NPO法人ではなく一般社団法人としてNPOの活動を行う団体も増えてきているので、この定義もかなりあいまいになってきているところではあります。
NPOとNGO
ここで、もう一つ混乱しやすいのがNPOとNGOです。
NPO=non profit organization 非営利組織
NGO=non gavernment organization 非政府組織
こちらはNPOとNGOの違いを書いているこちらの記事に詳細を書いているのでご覧ください。
NPO法人の始まりを簡単に・・・
ここで、NPO法人の始まりを簡単にご紹介。
NPO法人が生まれたのは1998年。
それまでは、市民活動団体は法人格を持つことが難しくて活動の幅を広げるにも限界がありました。
そんなころ、1995年の阪神淡路大震災でボランティア団体が活躍したことがきっかけとなり、特定非営利活動法(NPO法)が1998年3月に成立、12月に施行されました。
その後、一気にNPO法人を取得する団体が増え、5万団体を超えるほどまでとなってきています。
NPOの歴史についてはこちらの記事もご覧ください。
NPO法人になるには?簡単に
次に、NPO法人になるための基本を簡単に説明します。詳しく知りたいときには内閣府のNPOホームページなども合わせてご覧ください。
NPO法人として認証を得るための要件
NPO法人になるには、「所轄庁」に認証を得る必要があります。
所轄庁とは、NPO法人を認証し、監督する行政のことです。団体の主な事務所がある地域の都道府県か政令指定都市になります。
政令指定都市一覧
札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市
そして、認証を得るためには以下の要件があります。
- 特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること
- 営利を目的としないものであること
- 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと
- 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
- 宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと
- 特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと
- 暴力団又は暴力団、若しくはその構成員、若しくはその構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制の下にある団体でないこと
- 10人以上の社員を有するものであること
「営利を目的としない」というのはNPO法人の説明で解説した通りで、利益を得てはいけないという要件ではなく、営利のための活動ではないということです。
「特定非営利活動」というのは、下にまとめている20種類の活動のことです。
それから、わかりづらいのが「10人以上の社員」のところです。企業で働く従業員の意味合いではなく、NPO法人の場合は、「社員」=「正会員」のことを指すことが多いです。
つまり、NPO法人としての認証を受けるには、「正会員」が最初から10人必要
ということで、1人では立ち上げられないというのが特徴的ですね。ちなみに株式会社は1人だけでも設立できます。
では、特定非営利活動とは?
特定非営利活動とは、以下の20種類の分野に該当する活動であり、不特定かつ多数のものの利益に寄与することを目的とするものです。
特定非営利活動一覧 | 略称 |
保健、医療又は福祉の増進を図る活動 | 保健・医療・福祉 |
社会教育の推進を図る活動 | 社会教育 |
まちづくりの推進を図る活動 | まちづくり |
観光の振興を図る活動 | 観光 |
農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動 | 農山漁村・中山間地域 |
学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動 | 学術・文化・芸術・スポーツ |
環境の保全を図る活動 | 環境の保全 |
災害救援活動 | 災害救援 |
地域安全活動 | 地域安全 |
人権の擁護又は平和の推進を図る活動 | 人権・平和 |
国際協力の活動 | 国際協力 |
男女共同参画社会の形成の促進を図る活動 | 男女共同参画社会 |
子どもの健全育成を図る活動 | 子どもの健全育成 |
情報化社会の発展を図る活動 | 情報化社会 |
科学技術の振興を図る活動 | 科学技術の振興 |
経済活動の活性化を図る活動 | 経済活動の活性化 |
職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動 | 職業能力・雇用機会 |
消費者の保護を図る活動 | 消費者の保護 |
前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動 | 連絡・助言・援助 |
前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動 | 条例指定 |
20種類のいずれかに該当すれば認証を受けることができます。
多くの団体は、「まちづくり」と「子どもの健全育成」など複数の活動を選択しています。
NPO法人設立の流れを簡単に
ここからは、NPO法人設立の簡単な流れを紹介します。
NPO法人設立の検討
→申請書類の準備
→所轄庁に申請
→受理~縦覧
→認証決定
→設立の登記
→NPO法人の成立
まず、「法人設立を検討」をします。法人にすると信頼性が高まるなどメリットもありますが、その分書類の提出があったり、法人税がかかったりもします。総合的に判断して、NPO法人にするかどうかを仲間と共に決めていきます。
次に、「申請書類の準備」です。書類は以下が必要です。
定款
役員名簿(役員の氏名及び住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿)
役員の就任承諾書及び誓約書の謄本
役員の住所又は居所を証する書面
社員のうち 10 人以上の氏名及び住所又は居所を示した書面
認証要件に適合することを確認したことを示す書面
設立趣旨書
設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書
そして書類が整えば、所轄庁に申請します。
所轄庁で受理されると、「縦覧」があります。書類の一部が2週間、法人(設立申請中含む)から提出された書類を市民に自由に見ていただくものです。
そこから特に問題がなければ認証決定し、申請者が設立の登記を行います。
そして晴れてNPO法人の成立となります。NPO法人は申請に時間がかかるので、全体で4〜6カ月くらいかかることもあります。株式会社であれば、最短で数日のうちに設立できるので大きな違いと言えます。
NPO法人の特徴
上記のようにNPO法人は、市民の方々への情報の透明性、それによって市民から支えてもらうということが活動の特徴です。
そのため、毎年の事業報告書や決算書は所轄庁への提出が義務であり、一般に公開されます。
こちらから実際に見ることができます。
そして、提出しないと、過料処分となることもあります。
最後に、「市民活動促進法」とは?
NPO法、正式には「特定非営利活動促進法」が成立したのは1998年。このNPO法、もともとは「市民活動促進法」という名前でした。当時、市民活動促進法で一度は衆議院を通過しましたが、その後の議論で名称変更となったのです。
しかし、目的が変わった訳ではありません。市民が社会を変え、市民が社会を支えていく。市民活動を発展させることを目的に作られた法律。NPO法の第一条にもこの想いが込められています。
「この法律は、(中略)ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的とする」
(第一条から抜粋)
特定非営利活動という言葉からは、営利でないことが先に来てしまいますが、本質は「市民活動促進法」の名前の通りなのです。
NPO法の名前は世の中に定着した一方で、NPO法人=非営利=お金をもうけてはいけない・無報酬といった間違ったイメージを与えてしまうこともあります。このような誤解をなくすために、法律の名称を市民活動促進法が適切なのではという声もいまだにあるのです。
まとめ
NPO法が施行されてからNPO法人の数は急増しました。
NPO法は日本の市民社会の活性化に大きく貢献してきました。
これからの時代、社会をよりよくするためには、市民団体がさらに強くなることが不可欠です。
NPO法で重視されている点が二つあります。
「市民参加」と「情報公開」です。
この二点で市民活動団体に公益性があるかが判断できます。
多くの市民参加が促されていれば、それだけ公益性が高いといえます。
きちんとした情報公開をして透明性を図ることで、だれもがその団体の善し悪しを判断することができます。
NPOの本質は「市民活動を促進する」こと。
つまり、目の前の困った人に手を差し伸べることだけではなく、ボランティアを増やしたり、市民が活動しやすい環境を整備したりすることが求められています。サービス提供者の役割だけでなく、市民参加の機能を生み出し、一人ひとりの市民活動をサポートすることにNPOの本質があるのです。