チャンス・フォー・チルドレンの活動・ミッションやボランティア「教育クーポンで希望を届けるNPO」

子どもの貧困に取り組むチャンスフォーチルドレン NPOとは

チャンス・フォー・チルドレン(CFC)は、教育格差をなくすため、塾などで使える教育クーポンを、東日本大震災で被災した貧困家庭の子どもに、2011年から提供している。日本の教育は、先進国と比較して公的支出が少なく、各家庭の費用負担が大きいため、家庭の所得差が教育格差につながっている。経済協力開発機構(OECD)によれば、教育への公的支出は、日本が先進国の中で最下位だ。

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お金ではなく、教育クーポンで教育機会をつくる

東日本大震災では、親が職を失ったり、家の再建で支出が増えたりと、経済状況が悪化する家庭が増加した。震災前は塾に行けていた子どもも、家庭のことを考えてあきらめざるをえなくなった。CFCはこうした子どもたちに、現金を渡すのではなく、教育クーポンという形で、教育機会を提供している。5年間で被災した子ども延べ1248人にクーポンを届けた。

CFC代表理事の今井悠介さんは、「現金はどう使われるか分からない。子どもが親に遠慮して生活費に消える可能性もある。確実に教育機会を提供するために、クーポンが最適。クーポンなら塾に行けると希望をもつ子どもが増えた」と話した。教育クーポンは、塾や習い事など約3000カ所で使用できる。

東北の子どもたちには、1人当たり年間15~30万円のクーポンを届ける。子どもが塾でクーポンを使用したら、CFCから塾へ現金で支払うという仕組みだ。費用は寄付金がベースとなっている。2015年度は、220人の定員に対して、1479人もの子どもたちから応募があった。「届けたくても届けられない子どもが、まだたくさんいる。支えてくれる人がもっと必要」と今井さん。

日本の教育に対する支出の割合は先進国で最も低い

日本の教育に対する公的支出の割合は先進国の中で最も低く、教育機会は家庭によって開きがある。所得が低い家庭は教育機会をどんどん失っていく。日本の子どもは大半が塾に通って学校で学んだことを補っており、経済的理由で塾や習い事に通えないことで、希望の進学ができなくなることもある。低学歴となった子どもが大人になり、所得の低い職業を選ばざるをえないことで、貧困は連鎖していく。

CFCは教育格差を解消し、貧しくても、学力格差につながらないように取り組んできた。これまで、CFCが支えてきた子どもの中で338人が高校・大学へ進学することができた。クーポンをもらった子どもは、単に塾に行けるようになるだけではない。自分の親以外に支えてくれる人がいるということに気づくことで、前向きに生きようという励みにもなっている。

今井さんは最後に、「クーポンで教育格差をなくしていければ、前向きに生きる子どもたちが増え、将来的な子どもの貧困を予防できる。子どもの貧困はかわいそうというイメージがあるが、機会さえあれば、希望をもって頑張る子どもたちもたくさんいる。一人でも多くの子どもに教育の機会を提供していきたい」と語った。

CFCは、熊本地震で被災した子どもたちへの緊急支援の準備を始めている。東日本大震災での経験を活かして、子どもたちの教育機会を整備する。

公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン

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