いまや教育NPOとして有名なNPO法人Learning for All。「経済格差を”教育格差”にしないために」を掲げ、教育格差に取り組むNPOです。
勉強したくても塾に行くお金がない。
授業についていけないことを相談できる人がいない。
子どもたちにはどうすることもできない家庭環境や経済的な理由で勉強する機会に恵まれない「教育格差」という社会問題に取り組んでいます。
この記事では、Learning for Allをボランティア中心に解説していきます。教育NPO、学習支援のボランティアに関心ある人はぜひ読んでみてください。
そのほかの子ども関連ボランティアについてはこちらもご覧ください。
Learning for Allのボランティア
Learning for Allでは、「子どもの貧困」や「教育格差の解消」に関心のある大学生を募集しています。毎週土曜に小中学生へ大学生ボランティアが勉強を教えます。
学習支援を行うNPO団体はたくさんあります。けれど、NPO法人Learning for Allが運営する教室で教える大学生ボランティアは少し違います。毎週土曜日の3時間の授業のために、50時間の研修を受け、授業の前後にはロールプレイングや振り返りを数時間かけて行うのです。授業で子どもたちと過ごす時間よりも準備にかける時間の方が長い。
一人ひとりの子どもに向き合い、個々の理解に合う教材を作成したりと、子どもの未来を少しでも変えられるような授業をできるように悩みながら考え行動しています。
経済格差を教育格差にしないために
日本では6人に1人の子どもが、経済的な理由で教育を十分に受けられない。 教育格差は、将来の貧困につながることがある。所得の低い職に就くことでその子どもたちも困難な状況になるかもしれない。負の連鎖が続いていく。
この連鎖を断ち切るために、Learning for Allの大学生ボランティアたちは、自らのスキルをあげる努力を続けるのです。それは、授業の手法だけではなく、子ども一人ひとりの特徴を理解し寄り添うためのスキルでもあります。
子どもたちはさまざまな困難を抱えています。「貧困」や「勉強ができない」といったレッテルを貼られてしまうことによって、自信をもてなくなることもあると言います。子どもたちの可能性を信じて、人生をサポートすることが教師の役割なのです。
Learning for Allのボランティアの魅力
Learning for Allで学習支援ボランティアをする魅力は、「ボランティアも成長できる」こと。
充実した研修によって、子どもとの向き合い方や、授業のスキルを高めることができます。教員を目指している人だけでなく、大学生活なにかに熱中したい大学生にも向いています。
3ヵ月ごとに募集があるので、長く続けることも、3ヶ月だけ打ち込むことも可能です。夏の期間は5日間の短期集中プログラムとなります。ボランティア教師からプロジェクトマネージャーへステップアップすることもできます。
そして、生まれた地域や家庭環境に関わらず、すべての子どもが自分の可能性を信じ、やりがいをもって生きられる社会を実現することに貢献できます。経済格差が教育格差につながらないように、また教育格差が子どもの将来の貧困につながらないように、子どもたちを学習の面で支援するボランティアなのです。
子どもの人生を変える大学生ボランティア
「大学生には担任制で責任をもって子どもの人生を変えるという意識をもってもらいます」とLearning for All広報担当は説明してくれました。
「研修では子どもの心の奥にある意図を汲み取るということを伝えます。子どもの少しの行動も見逃さずに、いろいろな見立てをできるようになってもらいます」。
ボランティアは年4回募集をする。夏の短期集中プログラム以外は、3ヶ月ずつのスパンで事前・中間・事後と合わせて50時間の研修を行います。学習教室は毎週土曜日。
年間を通して200名以上のボランティア教師が参加。ボランティアはステップアップが可能で、教師を経験した学生は、教師のメンター役や、7カ所ある拠点のマネージャーを目指すこともできます。
「教育格差」を理解し、子どもと向き合う人を育てる
一人親家庭が増え、地域との関係も薄れ、非正規雇用が増加するような今の日本社会では根本的に「教育格差」を解決することは難しい。しかし、Learning for Allのように目の前の子どもの未来に明かりを照らす大学生が増えることで希望は生まれていくでしょう。
大学生はボランティアとして子どもと出会い、社会課題に直面する。当事者でない限り本当に困っている子どものことを理解し、向き合える大人は多くありません。けれど、教師経験をしてから社会に出ることで、子どもの抱える社会の課題を理解し、子どもと真剣に向き合える大人が増えていくのです。
彼らが教師やNPOセクター、民間企業など幅広いセクターで活躍することで、多様な角度から子どもの貧困に取り組むことができます。中長期的な視点で社会を変えることにつながるかもしれません。
子どもたちは何にでもなれる可能性がある。その可能性を生まれてきた環境だけで制限してしまっていいのでしょうか。子ども一人にとっても、日本社会全体にとっても不幸なことです。日本社会はこれからなにができるかが今、問われています。