NGOとは?スタッフが解説!NPOとの違い・正式名称・種類を簡単に

NGOとは・NPOとの違い NPOとは

まずは、NGOのことをスタッフが簡単に解説しますね。
NGOとNPOの違いって曖昧なのです。
「国際協力NGOのNPO法人○○」ってあったりしますよね。

まず、NGOとは「Non-Governmental Organization」が正式名称です。NGOはその略称。日本語に訳すと「非政府組織」と言います。

似たような言葉に「NPO(Non-Profit Organization)=非営利組織」があるので「NGOとNPOのちがい」って何だろうと思う人も多いので、この記事では、そこのあたりも説明していきますね。案外、NPO・NGOで働いている人も曖昧だったりするのですが。笑

また、NGO団体数は400以上あるといわれていますが、それらのNGOの活動内容、有名なNGO団体についてなどできるだけ簡単に詳しく解説していきます。

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NGO・NPOの違いは?

NPOとは

まず先に、NPOの言葉の説明から。
NPOで働いているというと、NPOって利益を出しちゃだめ?って勘違いをされることがよくあります。

NPO=非営利組織
①Non-Profit Organization 営利ではない組織
②Not-for-Profit Organization 営利の”ため”ではない組織

企業は営利組織で、NPOは非営利組織ですが、NPOも、物品を販売したりと、利益を出す活動を行うこともあります。企業は利益を出して株主に分配することを目的としていますが、NPOは利益を出した分は活動に充てます。あくまで、社会を良くするための活動を継続していくためということですね。

それなので、営利ではない組織というより、営利のためではない組織と理解した方が勘違いが起こらないんじゃないかと思っています。

学校の教科書とかでは、①が略称と説明されることも多いと思うので、テストとかでは②を書かないように気をつけて。

NGOとは・違いは?

それでは、NGOの説明とをしていきます。
NGOは「Non-Governmental Organization=政府ではない組織」の略で、非政府組織とも呼ぶというは最初に書いたとおりです。

NGOはNPOよりも古くから使用されいてる言葉

NPO法人が日本でできたのは、1998年です。NGOは、1945年に制定された国連憲章に「Non-governmental Organization」と記載されているので、NPOよりも古くから使用されている言葉なんです。

もともとNGOという言葉は国際連合の会議で、「各国政府代表者」と「その他の参加団体」を区別するために使われはじめました。

つまりNGOとは国際的な社会課題に対して取り組む政府以外の団体ともいえます。例えばパリ協定を採択した気候変動のCOP(締約国会議)に参加する日本政府代表団には「NGOから2名参加」と記載されているように、政府以外の参加団体を指しています。

それでNGOとNPOとの違いは何かというと。大きな違いはない!笑
NPOが、「国内の営利ではない活動をする団体」
NGOが、「国外で営利ではない活動をする団体」

って感じです。

でも、NGO団体と名乗っていても、震災の支援をしていたりするし、NPOといっても、外国人の支援をしていたりするし、定義としては明確なものはなく、曖昧なのです。

日本では国外で活動する団体にNGOと使う

日本でのNGOという言葉の使われ方として、国際協力・国際交流など国外で活動する団体が多いです。団体紹介時に「NGO団体の○○です」といった説明をします。ただし、海外で活動していなくても海外に関わる事業を国内で行っている団体でNGOと名乗る団体もあります。

例えば、国内の難民支援団体や、外国にルーツのある人を支援する多文化共生系の団体などです。厳密にNGOと名乗っていい基準があるわけではないので、NGOと名乗らずに、海外にかかわる活動を行う団体もあります。ややこしいのですが。。

あえて定義を探すとすれば、外務省は以下のようにNGOを説明しています。

外務省によるNGOの説明

以下、外務省のホームページからの引用です。

貧困,飢餓,環境など,世界的な問題に対して取り組む市民団体であれば,NGOと呼ぶことができます。法人組織として立ち上げるためには特定非営利活動法人(NPO法人)もしくは公益法人(一般社団・財団法人,公益社団・財団法人など)などの法人格を取得する必要があります(活動を始めただけでは任意団体となります)。

外務省ウェブサイト:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/kyoumi/faq02.html

外務省のNGOの説明にも「NPO」って言葉が出てきちゃってますよね。

NGOの種類

外務省の説明の例にあるのは、貧困、飢餓、環境があげられていました。

NGOの活動内容は11区分に分けられます(外務省の分類。「教育・職業訓練」、「開発・貧困」、「保健・医療」、「環境」、「農業・漁業」、「飢餓・災害」、「平和・政治」、「経済」、「人権」、「政策提言 ・ 調査研究」、「ネットワーク」の11分野です。

NGOの活動内容について詳しくは以下の記事をお読みください。

活動の種類ごとに、貧困や災害などに取り組む団体を「国際協力NGO」、気候変動・気候危機に取り組む「環境NGO」、人権問題に取り組む「人権NGO」と呼んだり、自ら名乗ったりしています。

代表的な団体をあげてみます。以下の各団体はそれぞれホームページ上でも自分の団体の説明にNGOとあえてつけています。

「国際協力NGO 日本国際ボランティアセンター(JVC)」
「国際人権NGO アムネスティ日本 AMNESTY」
「国際環境NGOグリーンピース」

NGOとNPOの違いで最も混乱を招くのがNPO法人のNGOがあるというところでしょう。再度、外務省の引用文を見てみると

貧困,飢餓,環境など,世界的な問題に対して取り組む市民団体であれば,NGOと呼ぶことができます。法人組織として立ち上げるためには特定非営利活動法人(NPO法人)もしくは公益法人(一般社団・財団法人,公益社団・財団法人など)などの法人格を取得する必要があります(活動を始めただけでは任意団体となります)

外務省ウェブサイト:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/kyoumi/faq02.html

「法人組織として立ち上げるには特定非営利活動法人(NPO法人)もしくは公益法人(一般社団・財団法人,公益社団・財団法人など)など・・・」という説明があります。つまり、NGOなのにNPO?という団体が出てくるのです。それについて以下で解説します。

「NGO法人」はない!NGOでもNPO法人が多い

NPOとNGOの違いはここまでに書いた通りですが、先に挙げた日本国際ボランティアセンターは法人格では「NPO法人」です。「国際協力NGOのNPO法人日本国際ボランティアセンター」なのです。ここが混乱をまねいてしまうところでもあります。

組織として活動する場合、なにかしらの「法人格」をとることで助成金を申請できたり信頼性も増すのでメリットが高まります。

「NGO法人」という法人格はありません。

そこでNGO団体もなにかしらの法人を選んで活動しています。外務省の説明にもあるように、NPO法人であったり、公益法人であったり、取得する法人格は様々です。

例えば、アムネスティは「公益社団法人」、グリーンピースは「一般社団法人」です。その中でも、現状ではNPO法人を選ぶ団体が多いようです。結果としてNGOのNPO法人が多数存在し、混乱させてしまう原因となっています。

今後、NGO団体を設立したいという方は以下の記事をお読みください。

NPO法人と公益法人について知りたい方は、以下の記事をお読みください。

NGOと使うメリット「国外で守られることもある」

国際協力の活動では紛争地域やテロのリスクがある場所で活動することもあります。そういった場所でもNGOや医療者は絶対的に中立であり、どちらからも攻撃されることがないのがルールです。

もし自国の政府が紛争でどちらかに寄っていたとしても、現地で活動するときは「自分たちは非政府組織=NGO」であると名乗ることで中立な立場として守られるのです。

ここまでNGOの言葉について説明してきました。それでは、具体的にどういった団体があるのか、またそうしたNGOに就職するにはどうすればいいのかを紹介していきます。

NGO団体紹介

国際協力NGO 日本国際ボランティアセンター(JVC)

まず、一つ目は「特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター」です。英語名では、「Japan International Volunteer Center」。JVCと略し、ジェイブイシーと呼ばれています。

NGOには、次に紹介するアムネスティやセーブ・ザ・チルドレンなど、海外発祥NGOの日本支部という団体も多くあります。その中で、日本発祥NGOの古参の一つがJVCです。設立は1980年。インドシナ難民の救援をきっかけに活動が始まりました。

現在では、ラオスやパレスチナ、スーダンなどアジア、アフリカ、中東の各地域でNGO活動を行っています。

以下の南スーダンの記事でJVCの活動の一部に触れています。

JVCの元事務局長でカフェのマスターに転身した清水さんのインタビュー記事もぜひご覧ください。

国際人権NGO アムネスティ・インターナショナル

次に紹介するのは、人権NGOのアムネスティインターナショナルです。アムネスティは世界各地に支部があります。英国の弁護士ピーター・ベネンソンが1961年、「自由を訴えたこと」で「自由を奪われた」若者のことを知り、声を上げたことから始まった団体です。現在200カ国で活動が行われています。

日本には1970年に支部ができました。国内では「公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本」として、活動を行っています。

アムネスティについて詳しくは以下の記事からご覧ください。

国際NGOセーブ・ザ・チルドレン

海外発祥で有名なNGOの一つに「セーブ・ザ・チルドレン」があります。子ども支援の活動を1919年から行っている歴史の長い団体です。イギリス人のエグランタイン・ジェブ氏によって創設されました。

日本に支部ができたのは1986年。アムネスティと同様に法人格は公益社団で、「公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」として国内で活動しています。

ビジョンは、生きる・育つ・守られる・参加する「子どもの権利」が実現された世界を目指すこと。緊急・人道支援、保健・栄養、教育、子どもの保護、防災など活動の幅も広いです。

国際協力NGOセンター(JANIC)

NPOには「中間支援組織」というNPO支援をする団体がたくさんあります。NGOにおいては、特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)が「国際協力NGOを支援するNGO」として活動しています。

設立は1987年で、国内の400を超えるという大小さまざまの国際協力NGOを支援しています。

「NGOの力を最大化する」というミッションのもと、企業や自治体、市民とNGOをつなぎ連携を促進したり、NGOの組織や事業を強くするための情報提供やセミナーなども実施しています。

その他さまざまなNGO団体

アジアやアフリカで教育プロジェクトを展開している国際NGOでケア・インターナショナルジャパンという団体。


シリア難民に対して活動をしているNPO法人ホープフル・タッチ

こうしたNGO団体に就職したいと考える人も昨今増えてきているでしょう。
しかし、一般企業のような就職・転職活動とは手法が異なります。
NGOやNPOに特化した求人サイトも増えてきているので、それぞれの特徴を知ったうえで、探してみてはいかがでしょうか。


実際に、NGOのシャプラニールという団体で働くNGOスタッフのインタビューもあわせてお読みください。

NGO相談員とは

NGOのことを詳しく知るために直接専門家に聞くことができる制度があります。
それが「NGO相談員」です。外務省が行う取り組みで、選ばれたNGO団体がNGO相談員として、NGOの活動や設立などについて、相談に乗っています。

以下は外務省のホームページからのNGO相談員説明文です。

国際協力分野で経験と実績をもつ日本のNGO団体が外務省の委嘱により「NGO相談員」となり、NGOの国際協力活動、NGOの設立、組織の管理・運営など、市民やNGO関係者からの質問・照会に答えます。また、国際協力への理解の促進のため、地方自治体や教育機関などと協力し、国際協力関係のイベント等において相談業務や講演を行う「出張サービス」も実施します。

外務省ホームページより https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/shien/soudanin.html

NGO相談員一覧

NGO相談員は全国にあり、各地域ごとに団体が指定されています。

北海道:一般財団法人 北海道国際交流センター(HIF)
東北:認定NPO法人 IVY
関東:
 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC)
 特定非営利活動法人 難民を助ける会(AAR Japan)
 特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)
 特定非営利活動法人 開発教育協会(DEAR)
中部・北陸:
 特定非営利活動法人 アイキャン
 特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター
近畿:
 特定非営利活動法人 関西NGO協議会
 公益財団法人 PHD協会
 特定非営利活動法人 テラ・ルネッサンス
中国:特定非営利活動法人 AMDA社会開発機構
四国:特定非営利活動法人 えひめグローバルネットワーク
九州:特定非営利活動法人 NGO福岡ネットワーク
沖縄:特定非営利活動法人 沖縄NGOセンター

最後に、NGOの本を紹介

まとめとして、NGOの本をいくつかご紹介します。
上記でも出てきたシャプラニールから出している本『シャプラニール流 人生を変える働き方』や、JVCが出している『NGOの選択―グローバリゼーションと対テロ戦争の時代に』、アムネスティは『かさをささないシランさん』という本を出しています。

それぞれ、NGOのことをより深く知ることができる本なので、ぜひ書店でご一読ください。本屋にない場合は、各団体のホームページからお問い合わせください。