吉祥寺は住みたい町やおでかけスポットとして人気のまちだ。だが、車いすユーザーは行きたくないともいう。あふれかえる人、細い道や段差、スロープがないおしゃれな店。車いすを利用する人しか分からないバリアがたくさんある。
そんな吉祥寺で14日、バリアフリー調査のイベントがあった。
車いすユーザーや健常者50人ほどが集まり、「みんなでつくるバリアフリーマップ WheeLog!」アプリを使って、まちあるきを行った。目的は、WheeLog!アプリに車いすで移動した走行ログを残すことや、バリアフリースポットの調査をすることだ。
WheeLog!とは|みんなでつくるバリアフリーマップ
WheeLog!アプリの特徴は、車いすユーザーが通った道を走行ログとしてアプリに記録することができること。写真のように走行ログが残っている場所は、過去に車いすユーザーが通ったことがある道だ。色が濃いほど何人もが通った道と分かる。
調査は8班に分かれて行った。健常者(筆者も)らも、借り物の車いすに乗りまちあるきを体験した。車いすのベテランがチームにいるので、車いす初心者にも安心のチーム編成だった。各班、ショッピングセンターやハーモニカ横丁、井の頭公園、成蹊大学などをめぐり、車いすで通れる場所、走行が大変な場所、段差、スロープなどをアプリに記録していった。
車いすですすみながら、WheeLog!アプリに情報を登録
車いすに乗って分かったことは少しの傾斜が大きな負荷になること。駅から成蹊大学へ向かう道は、歩道が狭く道路側に道が傾いている。ベテラン車いすユーザーはすいすいと進んでいくが、車いす初心者にはサポートがないと道路に転んでしまいそうな道だった。自転車や歩行者とすれちがうときにも苦労した。
ランチのため入った大型ショッピングセンターでは、段差があり車いすで入れないレストランもあった。大きな店舗でも、バリアフリーが行き届いていないところはまだまだある。かたや、車いす3台でも楽に入れる店もあり、アプリにバリアフリーな店としてスポット登録した。WheeLog!アプリに、こうした情報を登録していくことが、次に吉祥寺でご飯を食べる人の参考になる。
多目的トイレも重要なバリアフリースポットだ。ショッピングセンターには、男性用と女性用それぞれに多目的トイレがあった。2つあり良いのではと思ったが、同じ班の人から異性の介助者だと入れないという指摘があった。
3時間ほどのまちあるきを終え、8班それぞれの調査状況を報告してイベントは終了した。イベント前、アプリにはほとんどバリアフリー情報がなかった。だが、50人のまちあるきによって、たくさんのバリアフリースポットや走行ログを記録できた。
車いすユーザーが行きたくないという吉祥寺も、以前よりは安心して移動できるだろう。一人ひとりの経験が、次に同じ場所を訪れる人の勇気になる。