子ども食堂の課題は。東京747カ所、大阪470カ所、全国6007カ所に増加するも。

子ども食堂メニュー写真 社会課題

子ども食堂の数が2021年、全国で6000カ所を超えたとなり、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえが6月発表しました。都道府県別では東京都が最も多く747カ所、大阪府が470カ所。少ないのは富山県が24カ所、秋田県・島根県が25カ所。

全国で増加する一方で、子ども食堂の課題はなくなっていません。全国の子ども食堂の中で法人として活動してところは多くなく、ボランティア・助成金で成り立っているところが多いです。そのため子ども食堂の課題として「ヒト・モノ・カネ」の不足がまず挙げられます。

もう一つの子ども食堂の課題は、「子ども食堂=貧困家庭対象」というイメージです。子ども食堂が語られるとき、「子どもの貧困」や「一人親世帯の支援」などと合わせて取り上げることも多いです。そうした役割というイメージによって、子ども食堂を利用したくても利用しづらくなるという課題です。「貧困家庭の子どもに食事を提供するところ」という人もいるようです。

子ども食堂を運営する団体によると、課題は「資金と人材不足、場所の確保の困難。こども食堂=貧困というマイナスなイメージを持つ人が多く理解に時間がかかる」と答えています。

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子ども食堂の定義とは

NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえは、子ども食堂の定義を以下のようにしています。

こども⾷堂の定義は「こども⾷堂・地域⾷堂・みんな⾷堂などの名称にかかわらず、⼦どもが⼀⼈でも来られる無料または低額の⾷堂」

むすびえHP:https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2021/12/6ebda4cdb402ae4e3ad9d401ee0c0e65.pdf

子ども食堂の公的な定義はありません。運営の形態も多様で、子ども食堂という名称以外にも「みんな食堂」など様々な名称で開かれています。子どもとその保護者だけでなく、地域住民も参加するなど、「誰もが自由に参加できる地域交流拠点」と位置付けている拠点が多いのです。

子ども食堂の課題とは

子ども食堂が子どもの貧困対策だけでなく、子育て支援や地域づくりという位置づけという理解が広がり、貧困というイメージが払しょくされることによって、本当に必要としている人が利用できるようになるでしょう。

子ども食堂が貧困家庭の子どもたちの支えとなることはもちろん重要ではあります。その上で、インクルーシブにすべての地域住民が集うことができ、支え合う地域社会をつくる拠点のなることが期待されているのでしょう。

課題:ボランティアの確保

「ヒト・モノ・カネ」。どれも子ども食堂の運営には必須であり、悩みの種でもあります。

ヒトは、ボランティアスタッフ。モノは、食材などの寄付。カネは、助成金や寄付金。
これらをいかにして調達するかが、子ども食堂を設立して運営していく際に計画立てなくてはなりません。ただし、子ども食堂の認知は全国で広がっているため、フードバンクや個人・企業などからの食材の寄付などは多いです。金銭面でも、自治体などからの助成金もあるため、どれくらいの頻度や回数、場所で実施するかによっても変わってきますが、支援してくれるところはたくさんあるようです。

今、難しいのが「ヒト」でしょう。
ヒトにおいても二つの課題があります。一つは単純に運営するための人手が足りないケースです。
個人で立ち上げたものの、ボランティアスタッフが集まらない、特にコロナ渦でボランティアを希望する人も減っているため、開催したくてもできないというところもあるようです。

もう一つが「人が来ないと、交流にならず食事だけになってしまう」という課題です。
運営のスタッフが足りていても、地域の様々な世代がボランティアなどで「参加」してくれることで、多様性のある場所となり、地域交流・地域づくりの拠点といった意味合いをもちます。食事を作る人・食べる子どもだけ集まるだけでも重要ですが、その先を求めるのであれば、多様な人をボランティアなどで呼びかけることが欠かせません。

新型コロナでの子ども食堂の影響はどうだったか

新型コロナの渦中でも、子ども食堂の数が増えました。これはむずびえは、以下の要因をあげています。

①ソーシャル・ディスタンスを求められるからこそ「つながろう」と意思する人々が多数いる、②子どもたちの居場所が減少していく状況に危機感を抱く人々が多数いる、③エッセンシャルなもの(命・暮らしに不可欠なもの)を見直う機運の高まりの中で、身近なところで感じられる安心感の創出に人々が敏感になっている、④SDGs等持続可能性に対する問題意識の高まりの中で、こども食堂に地域の持続可能性を高める効果を見出す人々が増えている。

むすびえHPより引用:https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2021/12/586644a00039e9f3e38c105a07c85f18.pdf

一方で、新型コロナが始まった当初、子ども食堂が危機に瀕していました。地域の子どもたちの居場所として重要な役割をはたしてきた子ども食堂。新型コロナの影響で開催中止を余儀なくされたのです。2019年9月時点では再開できたのは24%だけでした。その後、少しずつ再開するところも増えてきましたが、当時は「まだ予定が立っていない」という団体が5割近くにのぼっていたのです。

子ども食堂は人が集まり、共に食事をすることでつながりを生んだり、ゆっくり時間を過ごせる自分の居場所というのが醍醐味です。過ごす時間も長くなるため、一般の飲食店よりもコロナ渦での開催は神経を使うことになります。

再開できなかった理由で最も多かったのは感染対策。
その中には「感染をしてしまったときの不安」「批判にさらされる」「責任の所在」といった悩みがあるといいます。地域では顔の見える関係も多い分、犯人扱いされてしまう懸念もあります。
この課題も今後、新型コロナだけでなく感染症においては気を付けてなくてはいけないところです。一方で、子ども食堂がのびのびと活動できるようになるには地域の人たちであたたかく支えあう視点も必要でしょう。

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