南スーダンの紛争解決に「農業」で取り組むNGO

南スーダンの現状NGO

世界で最も新しい国、南スーダンがアフリカに誕生したのは2011年7月9日。人口は1200万人ほど。
四半世紀に及ぶ北部との内戦では、200万人以上の死者を出した。アフリカで54番目となる独立国家が生まれたとき、市民たちは歓喜に沸き、希望の未来が見えていた、はずだった。

だが、2013年に内戦が起こり、2016年に戦闘が激化した。2月には飢饉を宣言するなど、厳しい現実が続いている。これまでに約3900万人が家を失い、ウガンダなどへ逃れ難民となった人は100万人ほどという。

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南スーダン独立後の内戦

独立から2年後、原油をめぐる対立からキール大統領が、マーシャル副大統領を解任したことで、再び戦火に包まれた。独立の前日には、当時の潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が、「南部スーダンには豊富な原油資源があり、耕作可能な広大な土地がある」と述べ、独立後、繁栄していく希望を語っていた。皮肉にも、原油が再び争いを起こす火種となってしまった。この内戦によって、数万人が死亡し230万人が避難した。

日本政府も、2012年1月から国連平和維持活動(PKO)に自衛隊を派遣している。市民たちの生活も厳しい状況だ。

ユニセフ(国連児童基金)は、「100万人近い子どもが暴力から逃れるために避難生活を余儀なくされ、 40万人が戦闘のために学校に通えなくなり、 子どもの3分の1以上が栄養不良」と発表している。石油生産も止まり、生活用品も足りない状態だ。

ようやく和平合意に至ったが、その後政府軍と反政府勢力による暫定政権が発足した。しかし、現実にはいつ再び紛争が再発するか安心できない状態が続いている。

その後、首都ジュバ市内でキール大統領を支持する政府軍と、マーシャル第1副大統領派の反政府勢力との間で戦闘が再燃した。激しい銃撃戦が行われていて、死傷者も出ている。南スーダンに滞在中の国際協力機構(JICA)関係者を退避させる方針だ。

武力衝突を繰り返し、犠牲となる人が増え続け、子どもたちは将来の希望が見えない状況にある。食料不足も深刻で、2月には飢饉が宣告される地域も出た。現在も、国民の半数にあたる約600万人が深刻な食糧不足に直面している。

南スーダンの紛争解決に「農業」で取り組むNGO

いくつもの武力紛争が世界で繰り返されている。紛争は多くの人から住む場所を奪った。6560万人。2016年、国外に逃れた難民や国内で住まいを失った避難民の数は過去最高となった。

なぜ紛争は繰り返されるのか。紛争が再び起こらないように、世界で紛争の「再発防止」に取り組むのが、認定NPO法人 日本紛争予防センター(JCCP)だ。

JCCPは現地の人が「被害者・加害者」から「平和の担い手」となることを目指し、各国でさまざまな活動に取り組む。南スーダンでは共同作業を通じた「民族融和」の活動を行う。

農業が紛争予防になる

理事長の瀬谷ルミ子さんは「紛争が続いていることで、争いあうことが当たり前になってしまっています。支援物資をめぐって争いになるなど、小さなもめごとでも、爆発してしまうこともあります」と現地の状況を説明した。

「南スーダンは部族間の対立が盛んです。だから紛争予防の活動といっても現地の人たちは集まらない。そこで住民みんなが興味を持つ野菜栽培を始めました。野菜という人々をつなげる要素を作った。栽培から加工の仕方も教えました。野菜栽培の活動でお互いに助け合う気持ちが生まれています」。

コミュニティリーダーへは紛争解決の研修を行なったり、カウンセラーの育成も行う。「暴力を使わないコミュニケーションが重要。予防のアプローチやリーダーシップを学ぶことで、リーダー同士は関係が良くなってきました」。

南スーダン人スタッフのルバイ・ティングワさんは「まずは平和。今度日本に来たときには紛争の話ではなく、南スーダンの美しさを見せたいです」と今後の目標を語った。

瀬谷さんも「平和って、切実。日本にいる私たちが感じる平和とは意味が違う。現地の人たちが一緒に作業することや、最低限は一緒にいることが大切」と伝えた。

南スーダンで活動するNGO

ユニセフ・南スーダン事務所代表マヒンボ・ムドエさんは「南スーダンの何百万人もの子どもたちは、想像を絶する苦難を強いられ、教育、栄養、保健および人権が妨げられています」という。

将来を担う子どもたちの70%以上が、教育を受けていない。3分の1の学校は、武装グループに攻撃された。ユニセフによれば戦闘などによって、2000人以上の子どもたちが死傷したという。

日本のNGOでは日本国際ボランティアセンター(JVC)が唯一、現地に入り活動する。避難民キャンプで食料支援などを行っている。JVC駐在員のブログでは、「避難民の生活を支えるとともに、将来を担う子どもたちが学校に復帰できるよう、現地の人々と協力して取り組んでいく」と今後の展望を記している。

今後も、さらなる世界中からの人道支援が求められている。「人道支援活動従事者には完全かつ安全なアクセス(移動の自由)が必要だ」とマヒンボ・ムドエさんは述べた。

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