世界人口の1%―2600万人の難民・4570万人の国内避難民が住んでいる地を後にしています。紛争や迫害など理由は様々。難民の流出国はシリアやアフガニスタンなどが多く、受入国ではトルコやパキスタン、ドイツなどが多いです。難民問題と一口にいっても紛争や難民キャンプ、難民受け入れなど課題は山積しています。日本国内では難民認定者の少なさも問題と指摘されています。
(数字はグローバル・トレンズ・レポート 2019を参考にしています。)
この記事では、難民に関わる言葉の意味や世界の難民問題・国内の受け入れ問題、支援するNGOやボランティア参加について解説します。
難民など言葉の意味とデータ
難民とは
難民という言葉は知っていても、国内避難民は聞きなれないかもしれません。紛争や災害、迫害などによって命の危険から住む地域から逃れ、「国外」に行く人々を「難民」といいます。国境付近まで行っても超えずに国内で避難生活をする人々が「国内避難民」です。
数字でいえば、難民2600万人よりも、国内避難民が4570万人と多いです。国際的な難民の定義では1951年に採択された「難民の地位に関する条約」で定められた人々であり、そこには「国籍国の外にいる者」とあります。そのため国内避難民は難民として保護されないという問題もあります。
移民と難民の違いを簡単に

移民と難民な似たような言葉ですが、移民は「本来の居住地をはなれて別の地に移動する人」をさします。仕事や学業、家族の事情などさまざまな理由で移り住みます。住んでいる地を離れて移動するということから難民も移民の中の一つです。
移民・難民・国内避難民を英語でいうと
ちなみに英語でいうと
移民は「immigrants」
難民は「refugees」
国内避難民は「Internally Displaced Persons」
となります。国内避難民は「IDPs」と省略してつかいます。
難民の流出国と受入国
難民を多く出している国はシリアが最も多いです。2019年はベネズエラが政情不安から暴力や食料難が起こり多くの難民を出しました。
シリア 660万人
グローバル・トレンズ・レポート 2019
ベネズエラ 370万人
アフガニスタン 270万人
南スーダン 220万人
ミャンマー 110万人
受入国で多いのはトルコです。シリアからの難民受け入れが多いためこの数年受け入れが増加しています。コロンビアはベネズエラ難民を受け入れています。
トルコ 360万人(5年連続1位)
コロンビア 180万人
パキスタン 140万人
ウガンダ 140万人ドイツ 110万人
グローバル・トレンズ・レポート 2019
日本の受け入れの問題

写真は、シリア難民の急増で、ドイツがとった「ようこそ難民政策」のイラストです。この政策自体は、結果的にヨーロッパへの大量流入を招き、新たな問題を引き起こしたとの指摘もありますが、難民受け入れに消極的な日本人はこの政策に安易に批判はできないでしょう。
ドイツでは110万人を受け入れていますが、日本の認定者数は2019年はわずか44人でした。前年は42人。その前は21人。増えているともいえますが、国際的にみると少なすぎるといえるでしょう。
難民問題は流出国だけの問題ではありません。国際社会全体で責任をわかちあうことが重要です。遠い国の出来事ではなく、日本になにができるのかを一人ひとりが考えることも大切です。人々の関心を高めるために「世界難民の日」が設定されています。
6月20日世界難民の日
難民問題の解決には、世界中の人々が協力が必要とされています。世界中の人が難民のことに思いをはせて、関心を高め、できることに取り組んでいく。そうしたアクションを生むのが「世界難民の日」です。英語では「World Refugee Day」。
6月20日が世界難民の日。2000年の国連総会で制定されました。
国内でも国連機関やNGOが世界難民の日にあわせてさまざまなキャンペーンを毎年行っています。ブルーをキャンペーンカラーとして、全国でライトアップも行われます。スカイツリーや北海道のテレビ塔、奇跡の一本松もブルーに染まりました。
難民支援NGOの活動、ボランティア参加
UNHCRとUNRWAでボランティア
難民支援の国連機関で国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)があります。難民2600万人のうち、2040万人をUNHCR、560万人のパレスチナ難民をUNRWAが支援しています。
UNHCRやUNRWAでのボランティアは募集があるときにウェブサイトSNSで告知があるようです。グローバルフェスタなどのイベント時期に募集がかかることが多いようです。UNHCRは駐日事務所とUNHCR協会の二種類あるので両方チェックしてみてください。
国内の難民を支援するNGO
海外の難民キャンプなどを訪れ支援するNGOもありますが、国内で難民支援を行うNGOもあります。一つは「難民支援協会(JAR)」です。日本に逃れてきた難民に対して、法的支援や就労支援、生活支援などを行っています。
JARでのボランティア内容は「難民の方の受付・ITをいかしたプロボノ・事務所やイベント業務」があります。まずはボランティア登録をすると最新の情報がえられます。
さぽうと21は難民・その子どもたちに対して学習支援を行っています。学習支援ボランティアも募集しているので、国内で子どもたちへの難民支援に関心がある人におすすめです。
人権NGOのアムネスティ日本には「難民チーム」があります。
アムネスティは国内の難民の人権をまもるために政府への提言やイベント開催など様々なアクションを行っています。難民チームでは、「日本の難民の実態を知り、情報発信」を目的として、勉強会・セミナーなどを開催したり、難民申請者のために資料を翻訳したりしています。
海外の難民支援NGO
パレスチナ子どものキャンペーン(CCP)は、1986年からレバノンでパレスチナ難民支援を行うNGOだ。「中東地域に生きる子どもたちが希望を持って成長できる」ことをミッションとして活動している。
難民を助ける会(AAR Japan)は、シリア難民、南スーダン難民、ロヒンギャ難民などへ災害や紛争が起こったときに難民の緊急支援を行っています。
オリンピックで活躍した「難民五輪選手団(Refugee Olympic Team)
2016年リオデジャネイロオリンピックでは「難民五輪選手団(Refugee Olympic Team)」が登場し注目を集めました。結成が発表されたのは2015年10月、国連総会で発表されました。
シリアから逃れた25歳の水泳選手やコンゴ民主共和国の紛争から逃れた柔道選手、南スーダンの陸上選手など国際オリンピック委員会(IOC)から選ばれたのは10人の選手。南スーダン5人、エチオピア1人、シリア2人、コンゴ2人。
東京オリンピックでも最大6人の難民選手団の派遣が予定されています。
まとめ
日本だけでなく世界中のNGOが、草の根の難民支援を行っている。まず、私たちにできることは一人ひとりがシリア危機の現状を知る必要がある。国際社会が一丸となり、難民となった人たちが希望を持てる世界に変えていかなくていけない。