オンラインボランティア(自宅でできるボランティア)が広がっています。昔からある翻訳やウェブ系のボランティアだけでなく、新型コロナウィルスの影響もあり、これまで対面で行っていたボランティアをオンラインに切り替える団体も出てきています。
オンラインボランティアは場所・距離をこえるため、これまでボランティアしたくても時間がなかったり、移動が大変でできなかったりという人でも参加がしやすくなりました。ここではどういったオンラインボランティアの種類があるのか、ボランティア募集の探し方などを解説していきます。
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オンラインボランティアの探し方
オンラインボランティアは増えてきていますが、まだ決まった呼び方がありません。オンラインボランティアと呼ぶことが一番多いですが「リモートボランティア」だったり、「自宅(在宅)でできるボランティア」と読んだり募集先によって様々です。そのためボランティアを検索して調べるのはとても難しいです。
その一方で各ボランティア募集サイトでは検索機能に「オンライン」や「自宅」があり調べやすくなっています。まずは3つの大手ボランティア募集サイトからご紹介します。
ボラ市民ウェブ(東京ボランティア市民活動センター)で探す
まず一つ調べやすいのは東京ボランティア市民活動センターの運営するボランティアなどの情報サイト「ボラ市民ウェブ」です。東京とありますが、オンラインであれば関係ないですね!
ボランティア募集やイベント情報などさまざまな情報があります。今回はボランティア募集ですね。
情報を探すから絞り込み検索で「自宅でできる」を選択して調べます。2021年3月現在では「NGOの事務局ボランティア」や「やさしい字幕ボランティア」などが出てきました。
KVネット(大阪ボランティア協会)で探す
次は関西が拠点のボランティア募集サイト「KVネット」です。関西人のためのボランティア活動情報ネットとありますが、オンラインボランティアであれば場所は関係ありませんね。
「ボランティア活動をしたい」のページで、パソコンであれば右側に種類から探す、分野、地域などの絞り込み項目が出てきます。地域から探すにある「自宅」か「オンライン」を選んでてみてください。(注!両方選ぶとなにも出てこなくなるのどちらか)
ヤフーボランティアで探す
次はヤフーボランティアです。ヤフーボランティアは地域を限定していないため、情報量は多いのですが、検索条件の細かい指定ができないのが難点ですね。オンラインボランティアを調べるときには、検索条件からタイプを「ボランティア」にして、キーワードに「オンライン」を入れるといいでしょう。
3つのボランティア情報サイトを紹介しました。これらは情報量が多いサイトではありますが、「結構少ないな」と思った人も多いのではないでしょうか。
実はボランティアを募集していても、こういった募集サイトにボランティア情報を載せているところは結構少ないのです。私もNPOで働いていた経験がありますが、募集情報をいちいち載せるのは面倒なのであまり使っていませんでした。
そのため結局は各団体のウェブサイトやSNSから探す必要が出てきます。
これはなかなか難しくて。ある程度団体名を知らないと調べられないと思います。そうしたときには直接ボランティアコーディネーターに相談するといいでしょう。お近くのボランティアセンターへ訪ねてみてください。
オンラインボランティアの種類10選
時間がない人も、移動ができない人も参加できるオンラインボランティアのニーズはこれからもどんどん高まっていくでしょう。ここからはオンラインボランティアを10種類ご紹介します。
翻訳ボランティア
まず新型コロナ以前から「自宅でできるボランティア」の定番でもある「翻訳ボランティア」です。ウェブサイトの情報や各種資料の翻訳を国際協力NGOなどが募集しています。
例えば児童労働に取り組むNGOのACEでは「活動紹介や海外支援活動に関する資料、海外の児童労働に関するニュース・調査報告書など」の翻訳ボランティア(日本語→英語、英語→日本語)を募集しています。他のNGOでも同じような内容で翻訳ボランティアを募集しているところは多いです。
探すコツがあります。
「翻訳ボランティア」単体で募集しているところは少なくて、ITとか広報とかいろいろなボランティアの中の一つとして、翻訳ボランティアがあるというイメージです。そのため、翻訳ボランティアで調べても出てきません!!そこで、まず「児童労働 NGO」などで検索して出てきた団体のサイトにいきます。そのなかで「ボランティア」のページがだいたいあるので、そこから翻訳ボランティアを募集しているかチェックしてください。
応募フォームやメールで申し込むときに、「オンラインで翻訳ボランティア希望」と伝えておくと団体のスタッフも対応しやすくなります。
ライターボランティア・編集ボランティア
次におススメしたいのが「ライターボランティア」と「編集ボランティア」です。ライターボランティアは初心者でもOKとあるので、書くことに関心がありオンラインでボランティアしたい方はぜひ応募してみてはいかがでしょう。
編集ボランティアもオンラインでの活動です。こちらは新聞社や出版社などの経験がある人が対象となっています。
高齢者施設オンライン訪問
高齢者施設や病院、保育園など訪問して交流したり、歌を歌ったりするボランティアができなくなってしまったところもあります。対面を再開しているところもありますがオンラインで活動している事例を紹介します。
まず東京ボランティア市民活動センターの企画で高齢者施設の方へ、演奏やダンス、手品などをオンラインで披露するボランティアを実施していました。
https://www.tvac.or.jp/special/rimobora/program#tokugi
施設のスタッフの人がオンライン対応できれば、ニーズは高いのでこれからも広がっていくでしょう。ただ、対応できないところは多いかもしれない・・・。
子どもの施設オンライン訪問
それから、埼玉にある聖学院大学ボランティア活動支援センターでは、NPOと協力して子どもたちにオンラインでクリスマス交流会を実施したり、保育園の子どもたちへオンラインで絵本を読んだりと活動の幅を広げています。
大学生で施設訪問ができなくなってしまった大学生も多いと聞きます。聖学院大学ボランティア活動支援センターのようにオンラインで様々な企画をしてみるのもいいかもしれないですね。聖学院大学ボランティアセンターのFacebookに活動の様子がのっています。
web・広報ボランティア
「NPOは情報発信が弱い」とよく言われています。大きな団体であれば広報専任スタッフを置くこともできますが、ほとんどの団体は専任をおく余裕はありません。ウェブサイトが見づらかったり、SNSの発信が弱かったりなど広報面で課題を抱えています。
そのためウェブに詳しい人やSNSが得意な人はボランティアとしてとても歓迎されます!例えば、子ども支援のブリッジフォースマイルでは、以下のように広報ボランティアを募集しています。
広報誌の企画・編集、HP・SNSからの情報発信、WEBマーケティング、NPO法人の運営など、キャリアを活かし、活動を支えるボランティアです。
NPO法人ブリッジフォースマイルウェブサイトより引用
社会人ボランティアとして広報やウェブにくわしい人はもちろん、学生でもSNSの発信などでボランティアとして活躍することができます。
広報ボランティアはオンラインでもできるボランティアですが、スタッフとの会議など直接会う可能性もあります。団体によって異なるので応募の際にオンラインが可能かどうかは確認してみてください。
オンライン国際交流・国際協力
少し変わったところも紹介します。
新型コロナの影響で海外にいけなくなったことで、NGOはオンラインで海外とつなぐ国際ボランティアやスタディツアーの取り組みを始めています。日本にいながら現地の人たちとつながり、現地の様子を知り、会話をすることでさまざまな経験ができるはずです。
海外ボランティアの日本国際ワークキャンプセンター(NICE)でも、「オンライン国際ワークキャンプ」を始めています。ベトナムやカンボジアなどとオンラインでつないだ企画があります。
国際協力NGOのJVCも「スタディツアー in パレスチナ」という企画をしています。
パレスチナに駐在中の日本国際ボランティアセンター(JVC)職員、山村順子がスタディツアーのガイドとなり、映像や写真を交えてパレスチナのいまを伝えます。
JVCウェブサイトから引用
字幕ボランティア
映像授業に「やさしい字幕」をつけるボランティアです。
耳が聞こえづらい人や、外国にルーツがあり日本語が得意でない人などは、映像授業で学ぶときについていけないことがあります。
そうした人たちに「学習のハードルが下がるよう編集された字幕」がやさしい字幕です。
絵本ボランティア
絵本に関連するボランティアはたくさんあります。
その中でも赤十字語学奉仕団が募集するのが「日本語の絵本に翻訳をつけて、アジアやアフリカを中心に世界の国々の子供たちに送る活動」です。
赤十字語学奉仕団では、絵本の翻訳以外にもさまざまなボランティアがあります。応募時に課題の提出があり少しハードルが高いと感じるかもしれませんが、充実した活動になるはずなのでチャレンジしてみてください。
オンライン国連ボランティア
次は赤十字よりおかたいイメージの「国連」でのオンラインボランティアを紹介します。国連機関の一つに、「国連ボランティア計画(UNV)」という団体があります。UNVでは「インターネットを通じて平和と持続的開発のためのボランティア活動に参加することを推進する仕組み」としてオンラインボランティアを募集しています。
ボランティア内容はさまざまです。以下サイトからの引用です。国連に関わってみたい・英語を使いたいなどの希望がある人はぜひ応募してみてください!
(1) 国連機関、政府機関、NGOからの要請による企画書の作成、活動資金調達の為の戦略づくり、各種申請書類の素案の作成
UNVウェブサイトから引用
(2) ウェブサイトのデザイン作成、パンフレットやカタログのレイアウト作成、ロゴの作成
(3) 複数のオンライン・ボランティアをまとめるコーディネーター
(4) データベースの作成、ブログの立ち上げ、ウェブサイトの運営、フラッシュソフトを使ったアニメーションの作成
(5) 既存の文献やレポートから成功事例を整理
(6) 翻訳、ニュースレターや記事の原稿案作成、校正作業
(7) トレーニング教材の作成
(8) コミュニケーション戦略への助言の提供、法的なアドバイス
被災地を知るオンラインプログラム
最後はボランティアとは少しずれますが、東日本大震災を経験した語り部によるオンラインプログラムのご紹介です。現地にいくことが難しい人にとっても「被災地を忘れない」ためにこういう機会に参加してみるのもいいと思います。
宮城県南三陸町や石巻市などで「東日本大震災の体験談や、現在に至るまでの復興の道のり」などを語り部さんが話してくれるプログラムを実施しています。