自主事業と行政からの委託事業の違いとは【NPOのお金】

自主事業と行政からの委託事業の違いとは 記事

NPOの資金を支える柱の一つが事業収入だ。フェアトレード商品の販売や、子どもキャンプの参加費、研修・セミナーの受講料など、NPOが実施する事業から得られる収入がある。自主事業による収入は、企業がサービスを提供し対価を得るという仕組みと同じだ。不安定な助成金などに頼らず、自主事業の収入をいかに増やすかが持続可能なNPO運営の鍵になると言われている。

また、事業収入には、自主事業の他に、委託事業という収入もある。これは、国や地方自治体などが実施する事業をNPOに委託して、NPOが運営するという仕組み。最終的な権限や責任は委託元の、国や地方自治体にあるが行政の下請けということではなく、行政にはできないNPOの優れた特性を活かすことで、その事業が社会に与える影響を最大化するための方法だ。

ただ、現状は全てが行政とNPOの対等な恊働となっているわけではなく、事実上、下請けのようになってしまうケースも散見される。下請けのようになるNPOは、資金のほとんどを委託事業に頼っていて、寄付金や会費の割合が少ないことが多い。

委託事業は金額が大きいので、NPO単体ではできない事業を行うことができるというメリットもある。しかし、全体の資金のなかで委託事業に頼り切ってしまう経営状態は委託がなくなったときにもろい。だから、行政に物を言えず、従順にならざるを得ず、民間としての意義を失ってしまう危険性もある。

NPOには、会費・寄付金・助成金・委託・自主事業など、多様な資金源の割合を団体として定めているところもある。健全な市民活動をしていくためには、行政と対峙する場面もある。そのときに、対等に主張をするためには、委託に頼りすぎず、全体のバランスを意識した経営状態が望ましい。事業収入では自主事業を伸ばしていくことが肝となる。

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