多様な働き方が日本社会で広がる中、大手企業の34.8%が副業や兼業を従業員に認めていることがNPO法人二枚目の名刺(東京・渋谷)の調査で分かった。副業や兼業の内容では、講演や執筆、NPOなど非営利活動への支援も認めている。一方、制度とする上で課題となるのは「経営陣の理解」と66.6%が回答した。
NPOでの副業に政府も期待
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調査は1月20日から2月17日、1000人以上の大企業人事系社員へインターネットリサーチを行い、348の回答を得た。
副業・兼業は、政府も柔軟な働き方の一つとして企業へ推進している。従業員には、収入源やスキルアップにもつながるメリットがある。企業にとっても、従業員がスキルアップすることで生産性が向上することや、多様な働き方を認めることで優秀な人材を確保できる点が期待される。
副業経験者は16.7%
同NPOが1000人以上の大企業へ勤める従業員1236人に調査したところ、副業経験者は16.7%。1年以内に副業をしたい人と合わせると58.4%となった。副業をすることによる本業への良い影響は「自分のことを客観的に見ることができるようになった」、「自分のスキルの社会的価値が分かった」などが20%以上と上位にあがった。
副業・兼業を認める企業の一部は、社会貢献を意識している。昨年から兼業を認めたロート製薬には「NEVER SAY NEVER」という世の中を健康にするためにチャレンジし続けることを目指したコーポレートアイデンティティがある。このアイデンティティのもと、社外での兼業を「社外チャレンジワーク制度」として制度化し、会社という枠を超えて社会へ貢献し自分を磨くための働き方を認めている。
ヤフーは副業を、人や技術のリソースを社会課題解決に提供する機会と位置づけている。従業員がNPOなどの副業で社内とは異なる経験をして、スキルやネットワークが広がることは、会社にとっての価値にもなる。
今後制度化を検討する企業は、副業・兼業を収入増の機会としてだけではなく、従業員のスキルアップや社会貢献と関連づけることも重要となるだろう。