絶滅危惧の植物を守りながら、観光・スポーツも楽しめる「持続可能な湘南海岸」をつくるには

NPOとは

海水浴やマリンスポーツでにぎわう湘南海岸に、ひっそりと希少な「海浜植物」が植えられている。湘南海岸ゆかりの「ハマボウフウ」や絶滅危惧の「ビロードテンツキ」だ。昔から漢方や食べる野草として利用されたりと親しまれてきた。海浜植物は砂浜を守る役割も果たしている。根を深くはることで、砂が風で飛び散ることを防いでいるのだ。だが、その海浜植物の減少が続いている。砂浜が減少したこともあるが、海岸利用者に踏まれてしまうなど人的要因も大きいといわれている。

湘南海岸で自然保護の活動をするNPO法人ゆいは、住民らと一緒に海浜植物を育て植える活動を行っている。だが、貴重な生態系を守るためには海岸を利用する市民たちで協力することが不可欠だ。湘南海岸は、地元の人や観光客が日々、海水浴やサーフィン、ランニング、フェスなど、さまざまな目的で利用している。大きいイベントがあったときに、植えていた一帯が自転車置き場となってしまったこともあるという。

共有財産である海岸は多様な人が多様な目的で使う場所。自然を守ることを押し付けるのではなく、湘南海岸が好きな市民たちで自主的にルール作りをすることが大切だ。

NPO法人ゆいとNPO法人藤沢市民活動推進機構は2月23日、「湘南海岸の持続可能なルール作り」を目指すためのイベントを開いた。観光・マリンスポーツ・自然保護・ビーチクリーンなど、湘南海岸に関わる人や地域住民など44人が集まり、「湘南海岸の未来像・持続可能なカタチ」を考える意見交換を行った。

法令ではなく、NPOなどの市民で自主ルールをつくる事例として小笠原諸島の紹介があった。例えば、ホエールウォッチングでは「クジラから300m以内を減速水域とすること」や、オオコウモリを見るときは「ガイド一人に対して見学者は10人程度にすること」など自然を守りつつ、自然を楽しむルールを作っている。