海の社会課題「プラスチックゴミが人体に悪影響を与える」

海でゴミ拾い 社会課題
マイクロプラスチック

海や川でのゴミ拾いは、景色をきれいに守るだけではない。海の生き物や人間の身体への悪影響を防ぐことにもつながっているのだ。

ゴミを拾っていると、たくさんのプラスチック容器やペットボトルが見つかる。海のプラスチックゴミは世界で年間800万トンという米大学チームの研究は、世界に驚きを与えた。

だが、さらに大きな社会課題は直径5ミリ以下の細かなプラスチック(マイクロプラスチック)の影響だ。小さなマイクロプラスチックが海に流れると、魚などの生き物がこれを食べてしまう。そのうえ、マイクロプラスチックには汚染物質がくっつきやすい。食べた生き物に悪影響が生じるだけでなく、めぐりめぐって人間が食べるものに汚染物質が残る危険性があるのだ。

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マイクロプラスチックの課題解決にはゴミ拾い

マイクロプラスチックには2種類ある。ゴミとなったプラスチックが太陽の紫外線や波の影響で細かくなったものを二次マイクロプラスチックという。

二次マイクロプラスチックの対処方法はゴミ拾いだ。それも「早急に」行うこと。数ミリのマイクロプラスチックになってしまっては回収することはほぼ不可能。まだ原型をとどめているうちに拾わなければならない。特に台風のあとはゴミが増えるため、すぐにゴミ拾いを行う必要がある。

根本的な解決のためにはポイ捨てを減らすことや、そもそものプラスチック使用量を減らすことだ。世界では毎年約3億トンものプラスチックが生産されている。1500万から約3億トンと、1964年から2014年の50年で20倍以上に急増した。そしてレジ袋やペットボトルなど毎日のようにプラスチックを消費している。日本人は1人年約300枚ものレジ袋を使用する。

2016年1月に行われた「世界経済フォーラム(ダボス会議)」では、海のプラスチック量が2050年までに魚の量を重量ベースで上回るという予測もある。

世界で規制されるマイクロビーズ

もう一つが、一次マイクロプラスチックと呼ばれるものだ。私たちが日々使用している歯磨き粉や洗顔料に含まれ、マイクロビーズともいう。汚れをきれいに落としやすくするためのもので、原料はマイクロサイズのプラスチックだ。この一次マイクロプラスチックは排水溝から自然環境に流れ出ていく。

マイクロビーズは米国では2015年に規制法が成立した。英国やフランス、カナダなども法的規制を準備している。日本では規制まではいたっていない。日本化粧品工業連合会が2016年に1100社に自主規制を呼びかけた。

私たちにできることはたくさんある。プラスチック使用量を減らすこと。マイクロビーズの入った製品を控えること。それからゴミ拾いに参加することだ。ゴミ拾いは最も気軽にできるボランティアだ。まずは近くの海や川ではじめよう。

紙やバイオプラへの代替「脱プラ対策」に待った

紙やバイオプラスチックを使用したストローを扱う企業が増えている。脱プラの波が広がる中、代わりの素材に置き換えることで環境に配慮する動きだ。だが、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは「別の素材に代替しても、影響が海洋汚染から森や農地の持続可能でない使用へと、問題が置き換えられる」と指摘する。

プラスチック問題は2016年のダボス会議で「2050年までに海洋中のプラスチック量が魚の量を超える」という試算が報告されて以降、世界中で脱プラに進み始めた。プラスチックが「悪」として魔女狩りのような動きも増えている。だが、プラスチックさえ使わなければいいということではない。

グリーンピースが指摘するのは「使い捨て製品や容器包装の過剰消費が引き起こす問題」だ。「多くの経済主体がいまだに推し進める使い捨て文化から体系的に脱却することが求められている」

根本的なことに対処せずに、だいたい製品に移行する問題点も取り上げる。例えばに代替する問題。紙を素材とする製品や容器包装の使用量は増加し続け、森林資源には大きな負荷がかかっている。木材パルプの生産量は1961年と比べて世界全体で約3倍になり、2016年には年間1憶7200万トンになった。

バイオプラスチックの問題も説明する。「石油由来の素材と同様に汚染を引き起こす可能性がある」。2018年には世界のバイオプラ生産量のうち4分の3以上がアジアで生産され、土壌の劣化や自然生息地の減少、水質悪化、汚染の進行、土地紛争などの影響が生じている。だいたい素材として、バイオマスの需要が増えることで、森林や農地の資源をめぐる競争が激化しないように予防策を取り入れる必要もある。

グリーンピースはプラスチック問題への対処には「リデュース」が重要だという。使い捨てプラ製品や容器包装の生産量を大幅に削減すること。それから、商品やサービスの提供方法に変革を起こすことだ。