読書バリアフリー法とは。視覚障害者等にも平等な読書の機会を

読書バリアフリー法とはなにか 社会課題

「読書障害者」をご存知だろうか。視覚障害者や、読み書きに困難のあるディスクレシア、寝たきりなどで本をめくることができないなど、印刷した書籍を読むことが難しい人のことをいう言葉だ。視覚障害者は音声データや読み上げソフトを使って本を読んでいるが、すべての本へアクセスすることはできない。

インターネット上の電子図書館「サピエ図書館」には約16万タイトルの点字図書データや約6万タイトルの録音図書データがアップされているという。だが、総務省統計局によると2017年、国内で約7万5000冊が出版されている。健常者と比べ、視覚障害者などの読書障害者がアクセスできない本はたくさんある。

今年6月に成立した「読書バリアフリー法」は、読書障害者も健常者と同じ読書環境の整備を推進するという法律だ。図書館での電子書籍の充実や、電子書籍の質の向上のための製作支援や、新しい技術を反映した規格の普及などがあげられている。今後、国は基本計画を策定し、整備の推進を具体化していく。地方自治体は努力義務だが、国と連携して計画を作り、実行していくことが求められる。

「障害の有無に関わらず、本をいつでも、どこでも、それぞれのニーズに応じた方法で読書できるようにするには、読書バリアフリー法の理念を推進し、具体的に実現していく必要があります」。認定NPO法人DPI日本会議など関係4団体は読書バリアフリー成立を受けた声明の中で述べている。

実現のためには、基本計画の策定を進めていくことや、障害当事者だけでなく、関係府省庁、出版社、図書館、ボランティア団体等が一丸となって連携協力していくことが求められているという。

参考

厚生労働省 読書バリアフリーについて
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000520873.pdf