「子どもの貧困」大学生ボランティアは学習支援で勉強の成果だけでない大事なことを教えていた

2017/03/16 NPO・CSR ライター 辻陽一郎

キッズドア渡辺由美子理事長が子どもの貧困について説明


「子どもの貧困」問題の解決へ、大学生ボランティアが勉強を教える学習支援事業が全国で広がっている。2007年から活動をするNPO法人キッズドアは全国に46拠点あり、約1000人のボランティアが奮闘している。

「ほめられたことがなかった」「初めて誕生日のお祝いしてもらった」。経済的に困難な状態にある子どもたちが発する言葉に大学生ボランティアは驚くことも多い。ときに笑いときに悩みながらも、この一年活動を続けてきた大学生ボランティアらが3月13日、都内で学習支援の成果や課題、子どもたちと過ごした日々を報告した。

■居場所になることが、子どもたちの学習意欲にもつながる

早稲田大学1年のボランティアは、都内のある学習拠点で活動する。中高生なら誰でも参加可能だが、中には、学校や家に居場所がない子や、不登校気味の子など、さまざまな背景を持った子どもたちもいる。

日によってばらつきがあるが平均で20人ほどの子どもたちが来る。勉強は子どもたちが自分のやりたいことを大学生に見てもらう自習スタイルだ。生徒からは「分からないことを、すぐ聞くことができる雰囲気で勉強しやすい。学校の先生に聞くのは気が引けるので助かる」といった声がある。

学習の成果も出ている。通知表に1が多かったが、学習によって1がなくなったという子や、学年順位が100以上あがったという子もいる。

だが、大学生のボランティアは学習面以外の効果も大きいと言う。「この場所が子どもたちの居場所のようにもなっています。勉強ではなく、ちょっと話しにきたという子もいます。居場所になることが子どもたちの学習意欲にもつながります。どのような子どもにとっても、故郷に帰るような気持ちになる場所でありたいです」。

学習支援の活動報告を行う大学生ボランティア

学習支援の活動報告を行う大学生ボランティア

■大学生ボランティアが身近なロールモデルになる

日本は教育における私費負担が先進国の中でも非常に多い国だ。お金がないと良い教育が受けられない。だが、良い仕事につくためには、良い教育が必要。一度、レールから落ちてしまうと抜け出すのは難しい。柔軟性のない社会になっている。

学力が低いことにも理由がある。塾に行けないからという単純な問題ではない。家が狭く、勉強机がない家もある。子どもは仕方なく、膝の上で勉強する。受験勉強をしたくても、テレビと同じ部屋で勉強するため集中できない。

親がダブルワークやトリプルワークで必然的にネグレクト状態になる。高校なんて行かなくていいとか、勉強より下の子どもの面倒見てとか。学習支援に来た子どもでお昼代を100円だけ渡される子どももいる。それでは、おにぎり一つ買えない。お腹がすいて午後の勉強に集中できない。教育面以外のところにも課題がある。

キッズドア渡辺由美子理事長は「学習支援で、大学生ボランティアが身近なロールモデルになってくれます。大学生と出会うことで、子どもたちのモチベーションが高まるのです」。厳しい境遇にいる子どもたちだが、大学生と出会うことで視野が広がり、将来の可能性も広がっていく。

学生からの報告会のあとは、今年卒業する大学生の表彰式が行われた。渡辺理事長から卒業生一人ひとりに表彰状が手渡された。大学入学時から4年以上活動を続けてきた学生は「信頼できる仲間と活動できたことを幸せに思っている」と語った。卒業後の進路は、法務省保護局。キッズドアのDNAを受け継いだ若者たちが社会に増えていくことが、子どもの貧困をなくす一歩になっていく。

渡邉理事長から卒業生に表彰状を贈る

渡辺理事長から卒業生に表彰状を贈る


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2017/03/16