「アフリカ女性が直面する課題、水汲みの過酷さ伝えたい」—女子高生コンビ、国際協力の挑戦

2017/04/11 NPO・CSR ライター 辻陽一郎

頭に3キロの水をいれた箱を乗せる。左が西岡さん、右が正木さん

頭に3キロの水をいれた箱を乗せる。左が西岡さん、右が正木さん


アフリカの貧困地域では、女性が水汲みや薪集めのため毎日約6キロの距離を何時間もかけて歩く。だが、非効率な水汲みによって、女性は仕事や勉強をする時間がなく、貧困から抜け出すことは困難な状況にある。

東京都内に住む高校3年生の正木桃子さん、西岡実乃里さんの2人(2017年4月から大学1年生)は、アフリカ女性の現状を知りショックを受けた。「自分たちにできることをしたい」。そんな思いから女子高生でもできることを考え挑戦を始めた。

■水汲みの過酷さを自ら体験するチャレンジ

正木さんと西岡さんは、水汲みの過酷さを実際に体験するため、3キロの水をそれぞれ頭に乗せて、高尾山を登る挑戦を行った。まずはアフリカ女性の日常の苦労を自分たちが知ること。体験してこそ、人にも伝えることができる。

国連が定める国際女性デー前日の3月7日、手の感覚を失うほど寒い日だった。3キロの水を入れた箱を頭に乗せてバランスを一生懸命とりながら登る女子高生たちは目を引く存在だったようだ。

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「すれ違う人たちが声をかけてくれました。用意したチラシで活動を説明したら、『私は何もしてこなかったけど頑張って』と応援してくれる人や募金をしてくれる人もいました」。募金を集めることを積極的にしたわけではないが、2人の挑戦に協力したいと10人以上が声をかけてくれて、2000円を超える募金が集まった。

1時間〜1時間半で登れるところ、水を頭に乗せることで、2時間以上もかかった。「実際に体験して、水を運びながら山を登るのは時間がかかり、子どもや女性がやるには大変で非効率と感じました。途上国の現状を改善したいという思いが高まりました」。

■集まったお金は国際NGO CARE(ケア)に全額寄付

重い水を運び、アフリカ女性の日常を体験するというチャレンジを、クラウドファンディングを活用し発信している。登山の募金も含め、集まったお金はすべて国際NGOのケア・インターナショナル ジャパンへ寄付をする。
https://japangiving.jp/active_reports/7172

3月27日正木さん(左)と西岡さん(真ん中)が国際NGO CARE(ケア)事務局長に寄付金を手渡した

3月27日正木さん(左)と西岡さん(真ん中)が国際NGO CARE(ケア)事務局長に寄付金を手渡した

寄付金は全額CARE(ケア)を通じて、ガーナの赤ちゃんの栄養改善や、母親の経済的自立支援など、途上国の女性支援に役立てられる。CARE(ケア)は世界90ヶ国以上で人道支援活動を行う国際協力NGOで、特に「女性と女子」に焦点をあてた活動を行う。

正木さんと西岡さんがチャレンジを始めるキッカケとなったのも、CARE(ケア)が開催する高校生ワークショップ「高校生だからできる!国際協力のカタチ」だ。海外での支援だけではない、日本で高校生にもできる国際協力を考えることがテーマだった。

2人は考えるだけでは終わらせずに、「思いがあるなら行動に移そう」という一心で、挑戦を始める決意をした。大学進学が決まった高3の秋頃だった。違う高校に通っていたが、国際協力への思いを共有した。

■国際協力のきっかけは対照的な2人

2人が国際協力へ興味を持った経緯は対照的だ。

西岡さんは帰国子女で小学校の頃、アメリカに住んでいた。ダウンタウンで過ごすホームレスの人たちの状況を見て、貧富の差がある格差社会に衝撃を受けた。なぜこのような状況があるのか。自分にできることはなにか。身体が弱く病院でお世話になることもあった西岡さんは、誰かの助けになることがしたいという思いも抱くようになった。

日本に帰国してからは、カンボジアで活動する写真家の講演や国際協力に関する本をたくさん読み、小さな支援でも何かやりたいと思うようになった。

一方、正木さんは高校生になるまで国際協力にまったく関心がなく、キラキラした大学生活に憧れる女子高生だった。ターニングポイントは、2年の夏に参加したグローバルユースキャンプ。青年海外協力隊の研修に1週間参加できるプログラムだ。

さまざまな講義を聞く中で、途上国での女性の立場の低さや、肉体労働の過酷さなどジェンダー格差があることを知った。「将来、途上国のジェンダー問題に取り組みたい。そう思うようになりました」。

■将来、国際協力に携わるため大学で学ぶ

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国際協力への強い思いを抱く2人が進路に選んだのも偶然同じ、早稲田大学国際教養学部だった。

正木さんは「大学では、教育格差や経済格差、貧困の連鎖が起こる仕組みなど国際協力を多角的に見られるように学んでいきたい」と話した。必修の留学先には、ジェンダーギャップの少ないノルウェーや、ジェンダー研究が盛んなアメリカを考えている。「将来はお金のために働くのではなく、自分のやりたいことをやる。国際協力の仕事に就きたいです」。

西岡さんも将来は国際協力に関わることがしたいという。「コミュニケーションの手法や心理学などを学び将来の国際協力の活動に生かしたい。アフリカに行きたいので、フランス語も学びたいです」と語った。高校生のときには、旅行でモロッコを訪れた。大学ではケニアやガーナなどへ行ってみたいという。「実際に現地を訪れたり、いろいろなことを自分の目で見てみたいです」。

高校生のときから国際協力の関心をもち行動する人はあまり多くない。だが、2人が自分たちの挑戦を友人に伝えると、刺激を受ける同級生もいたという。同じ世代が積極的に動くことで、行動する人も増えていく。次の目標は、いろいろな友人を巻き込みながら新しい挑戦をすることだ。大学生になった2人の挑戦はこれからが本番だ。


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2017/04/11