日本科学未来館(東京都江東区)で8月1日、小学生対象のイベント「ハットニャール博士の研究所2025 ~アンコンシャスバイアスに気づく“5つのとびら”~」が開催されました。主催は一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所。全国から287名の小学生が集まり、保護者らを含めた来場者は516名に達しました。展示エリアにはさらに約400名が訪れ、会場全体は笑顔と熱気に包まれました。
本イベントは、子どもたちが「アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)」に気づくきっかけを提供することを目的とし、昨年に続いて2度目の開催となります。官公庁や企業、NPOなど33団体が協力。参加者からの好評を受け、来年夏の開催も決定し、東京以外の都市での実施も検討されています。
アンコンシャスバイアスに気づく“5つのとびら”
イベントの中心は、企業や専門家が提供する5種類の体験プログラムです。子どもたちは当日のくじ引きで割り当てられた「2つのとびら」に参加し、身近な体験を通じて“無意識の思い込み”に気づく仕掛けを体験しました。

味覚の不思議に迫る「おいしさのとびら」
株式会社味香り戦略研究所が担当。無臭の液体を飲んで味を当てる体験や、色の違いで味覚の印象が変わる実験を通じ、味覚の奥深さを学びました。
「食わず嫌いは思い込みかもしれない」と気づくきっかけになりました。
想像と現実のギャップ「おかしのとびら」
森永製菓株式会社は、この日のために特別な「ハイチュウ」を準備。見た目で予想した味と実際の味の違いを体験し、人それぞれの感じ方の違いや先入観に気づく場となりました。
遊びながら学ぶ「かるたのとびら」
パナソニック インダストリー株式会社が提供した「アンコンかるた」。
「あたりまえ それは ほんとに あたりまえ?」などの札を通じて、子どもたちは自分自身の無意識の思い込みを振り返り、話し合う機会を持ちました。

物語を読み直す「桃太郎のとびら」
博報堂のクリエイターによる授業では、昔話「桃太郎」を題材に、鬼や登場人物の視点を考え直しました。子どもたちは「にらめっこで勝負する」「きびだんごを分け合う」といった新しい物語の結末を提案。多様な視点から物語を再解釈しました。
自分らしさを見つめる「らしさのとびら」
株式会社ポーラは「自分らしさ」をテーマにワークショップを展開。子どもたちは好きなことや大切にしていることを共有し合い、互いの個性を認め合いました。過去の女性社員の挑戦エピソードも紹介され、「思い込みを超えて一歩踏み出す勇気」の大切さが語られました。
昨年の参加者が研究成果を発表

今年のイベントでは、昨年度参加した2名の小学生が研究発表を行いました。
- 小学6年生(参加当時)の野澤由衣さんは、「リーダーはこうあるべき」という思い込みに気づき、自分らしいリーダー像を語りました。
- 小学4年生(参加当時)の梶尾幸大朗さんは、ヘアドネーション活動を通じて「見た目に対する思い込み」に気づいた経験を共有。さらに「どうせ無理」と思っていたサッカーのセレクションに挑戦し、合格した体験を紹介しました。
ロビー展示や自由研究への発展
会場ロビーには、全国の小中学生が制作した「アンコンかるた」や自由研究作品が展示され、約400名が見学しました。
参加した子どもたちの中には、体験をきっかけに夏休みの自由研究に取り組んだ事例もありました。小学4年生のゆりこさんは「らしさのとびら」での体験から「宇宙飛行士」をテーマに研究を実施。男女比や各国の歴史を調べ、「宇宙飛行士の選抜にある無意識の思い込み」を探る内容に発展しました。
保護者や参加者からの声
イベント終了後には多くの感想が寄せられました。
- 子ども:「世界の見え方が変わった」「挑戦してみたい気持ちになった」
- 保護者:「親も“ハッ”とした」「普段の思い込みに気づいた」「子どもが発表する姿に驚かされた」
「親の“うちの子はシャイだから発表しない”という思い込みもアンコンだった」との声もあり、大人自身の気づきにつながったことが強調されました。
今後の展望 ― 地方開催や教育現場への広がり
アンコンシャスバイアス研究所は、次年度も夏に同イベントを開催予定です。さらに「東京以外でも」という要望に応え、地方都市での開催も検討中。加えて、小中学校での授業提供や教員研修、保護者向け講演などを継続して実施し、子どもと大人双方に気づきの場を広げていく方針です。
また、現在は「アンコンかるた」を全国の小中学生から募集しており、遊びを通じた学びの広がりを期待しています。応募締切は2025年10月31日です。
「ハットニャール博士の研究所2025」は、アンコンシャスバイアスを「楽しく学ぶ」機会を提供し、子どもたちの未来の可能性を広げる場となりました。子どもだけでなく大人も含め、多くの参加者が“無意識の思い込み”に気づいたことで、日常の考え方や行動を見直すきっかけを得ています。来年以降、全国に活動が広がることで、より多くの子どもたちが新しい視点と出会うことが期待されます。
団体概要 一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所
一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所
所在地:東京都港区南青山2丁目
代表理事:守屋 智敬
公式サイト:https://www.unconsciousbias-lab.org/
イベント公式サイト:https://hatto88.com/


