遺児や親に障がいがある子どもを支援する一般財団法人あしなが育英会は、2025年度の「あしなが高校奨学金」の採用状況を発表しました。申請者3217人のうち、過去最多となる1878人が奨学生として採用されましたが、依然として1339人、割合にして41.6%が支援を受けられない状況にあります。
採用率は58.4%と前年度から14.3ポイント改善しましたが、物価高や格差拡大の影響を受ける遺児家庭の生活は依然として厳しく、支援の拡充が求められています。
奨学金の申請と採用の推移
あしなが高校奨学金は、病気・災害・自死遺児(交通事故を除く)や、親に障がいがある高校生・高専生を対象に、月額3万円を返還不要で給付する制度です。
申請と採用の状況は以下の通りです。
- 2023年度:申請者 2630人、採用者 1169人(採用率44.4%)
- 2024年度:申請者 3487人、採用者 1538人(採用率44.1%)
- 2025年度:申請者 3217人、採用者 1878人(採用率58.4%)
採用者数は過去最多に達しましたが、申請者数に対して4割が採用に至らず、奨学資金の不足が続いています。

深刻な生活実態が浮き彫りに
あしなが育英会は、東京都立大学子ども・若者貧困研究センターと共同で奨学生世帯の調査を進めています。速報値では、保護者の54.5%が「過去1年間に食料を買えなかった経験がある」と回答。さらに33.8%が「公共料金や家賃、税金などを滞納した経験がある」と答えており、遺児家庭の生活の厳しさが明らかになっています。
この調査結果は2025年11月下旬に公表される予定ですが、現段階でも経済的支援の必要性が強く示されています。
「あしなが学生募金」 全国136か所で開催へ
不足する奨学資金を補うため、あしなが育英会の大学奨学生が中心となって組織する「あしなが学生募金事務局」は、2025年10月18日から全国136か所で「第110回あしなが学生募金」を実施します。
街頭募金に先立ち、10月11日にはJR新宿駅南口でオープニングセレモニーが行われ、学生約30人が登壇予定です。募金の使途は次の通りです。
街頭募金は10月18日(土)、19日(日)、25日(土)、26日(日)に行われ、寄付金の半分は国内の奨学金、もう半分はサブサハラ・アフリカ49か国の遺児の高等教育支援に充てられます。
アフリカ遺児高等教育支援100年構想
募金で得られた寄付の半分は、サブサハラ・アフリカ地域の遺児学生の支援にも充てられます。
あしなが学生募金は国内支援にとどまらず、「アフリカ遺児高等教育支援100年構想」に基づき、サブサハラ・アフリカ49か国の遺児に対しても寄付を活用しています。これまでの11年間で400人以上の遺児が大学進学を果たしており、長期的にアフリカの人材育成を後押ししています。
支援を必要とする子どもたちへ
あしなが学生募金は1970年に始まり、当初は交通遺児支援から出発。その後、病気や災害、自死遺児、さらに親に障がいがある子どもへと対象を広げ、今日までに累計122億円以上の寄付を集めてきました。
前回の第109回あしなが学生募金では、街頭募金や振込を通じて8710万1246円が集まっています。こうした成果は遺児家庭の進学を支える基盤となってきました。
あしなが育英会は、「親を亡くしたり障がいを持つ家庭の子どもが、経済的理由で進学の夢をあきらめることがない社会」を掲げています。しかし、現実には支援が届かない子どもが多数存在しています。
今後、学生募金を通じて支援者を広く募ると同時に、生活実態調査の結果を社会に提示することで、政策や制度の改善にもつなげていく方針です。
団体概要 一般財団法人 あしなが育英会
一般財団法人 あしなが育英会
本部所在地:東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館本館4階
会長:村田治
公式サイト:https://www.ashinaga.org/
「あしなが学生募金」公式サイト:https://www.ashinaga.org/support/student-fundraising/


