紛争下の学校を守る「学校保護宣言」への賛同を オンライン署名と対談イベントで理解促進

学校保護宣言 国際協力団体

世界各地で続く紛争は、子どもたちの学校教育を深刻に脅かしています。学校や大学などが攻撃対象となり、生徒や教員が命を失う事例もあり、2億3,400万人が教育を受けられない状況にあります。

こうした中、国際的な取り決めとして2015年に策定された「学校保護宣言(Safe Schools Declaration)」は、学校を攻撃や軍事利用から守るための枠組みとして121か国が賛同しています。しかし、日本はG7で唯一、学校保護宣言に賛同していません。

公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2025年4月から「学校保護宣言キャンペーン」を開始。署名活動や啓発イベントを通じて日本政府に賛同を求めています。8月27日には俳優のサヘル・ローズさんと国連広報センター所長の根本かおるさんを迎えた特別対談も予定されており、注目が集まっています。

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世界で広がる「教育への攻撃」

国際研究機関の調査によれば、現在4億7,300万人もの子どもたちが紛争地域で生活しています。そのうち2億3,400万人が学校への攻撃や軍事利用のために教育を奪われていると推計されています。

学校は本来、子どもたちが安心して学ぶ場であるはずです。

しかし、頑丈で広い施設であるがゆえに、武装勢力によって基地や兵舎、武器庫として使われる事態となっているのです。その結果、学校そのものが攻撃対象となり、教育を受ける権利が脅かされてしまいます。

「学校保護宣言」とは何か

こうした状況を受け、2015年に国際社会が策定したのが「学校保護宣言」です。宣言は以下の6点を柱としています。

  1. 軍事利用の目的で、開校中の学校を使用することの禁止
  2. 民間人が退去後の学校の使用は、最終手段の場合のみとすること
  3. 武装紛争下における学校の意図的破壊の禁止
  4. 敵が軍事目的で使用している学校への攻撃をする際、事前警告をするなど代替手段の検討義務
  5. 戦闘部隊による学校警備の原則禁止
  6. 「武装紛争下で学校や大学を軍事目的使用から守るためのガイドライン」の実施

この宣言は紛争当事国を含む121か国が支持しており、子どもたちの教育を守る国際的な基準となっています。しかし、2025年現在、日本は未だ賛同していません。G7の中では唯一の不参加国であり、国内外から対応を求める声が高まっています。

日本で始まった署名キャンペーン

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2025年4月8日から署名キャンペーンを開始しました。オンライン署名は「Change.org」と「あすのコンパス」の両方で受け付けており、子どもや学生、教育関係者を中心に広く協力を呼びかけています。

寄せられた署名は外務省や防衛省、国会議員などに提出され、日本政府に対して宣言への賛同を求める予定です。

キャンペーンはG7カナナスキス首脳会合(6月)、国連の「教育を攻撃から守る国際デー」(9月)など、国際的な節目に合わせて展開され、最長で12月まで続けられる見込みです。

対談イベントで理解を深める機会

さらに、8月27日にはキャンペーンの一環として特別対談イベントがオンラインで開催されます。登壇するのは、女優であり国内外で人道支援にも取り組むサヘル・ローズさんと、国連広報センター所長で長年難民支援に携わってきた根本かおるさんです。

イベントでは、紛争地における「教育への攻撃」の現状や、「紛争下で教育を守ること」の重要性、学校や大学を攻撃・軍事利用から守る「学校保護宣言」について語られる予定です。参加者とともに「自分にできること」を考える場を提供します。視聴は事前申し込み制で、誰でもオンライン参加が可能です。

広がる連携と市民の声

キャンペーンには、教育協力NGOネットワーク(JNNE)、教育を攻撃から守る世界連合、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アムネスティ・インターナショナル日本、ACEが協力団体として名を連ね、さらに多くのNGO団体が賛同しています。

キャンペーンでは、ユース世代とのワークショップや学校への出前授業なども行い、学校保護宣言の理解を広げています。市民一人ひとりの署名が積み重なり、政府の行動を後押しすることが期待されます。

紛争は遠い国の出来事に見えるかもしれません。しかし教育の権利を奪われている子どもたちが世界に数億人存在し、その現実に日本も無関係ではありません。日本が「学校保護宣言」に賛同することは、国際社会の一員として教育を守る意思を示す重要な一歩です。署名活動やイベントを通じて広がる市民の声は、子どもたちの未来を守るための力となるでしょう。

公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン

所在地:東京都千代田区内神田2-8-4 山田ビル4F
設立:1986年(英国本部は1919年設立)
事業内容:教育、保健・栄養、緊急・人道支援、防災(災害リスク軽減)、子どもの保護、子ども参加等の国内外での子ども支援事業及び啓発活動。
公式サイト:https://www.savechildren.or.jp/