NGOと一言でいっても活動範囲は広く分野も多岐にわたります。
NGOの活動内容は11区分に分けられます(外務省の分類)。「教育・職業訓練」、「開発・貧困」、「保健・医療」、「環境」、「農業・漁業」、「飢餓・災害」、「平和・政治」、「経済」、「人権」、「政策提言 ・ 調査研究」、「ネットワーク」の11分野です。
また、NGOの活動は、「海外事業」と「国内事業」に分けられ、海外で最も取り組むNGOが多いのは「教育・職業訓練」で、ついで「開発・貧困」となります。国内では最も多いのが「ネットワーク」、ついで「教育・職業訓練」です。
この記事では、元NGOスタッフが、それぞれの活動内容や分野ごとにNGO団体の具体例について簡単に解説します。
NGOの活動内容を知りたい人、寄付先・ボランティア先を見つけたい人、NGOで働きたいために情報を知りたい人、この記事を参考にして気になる団体を見つけてください。
NGOの活動内容一覧
改めて、NGOの活動内容の分類をまとめます。こちらは、外務省が発行する「NGOデータブック」の分類を参照しています。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/link/houkokusyo.html
「教育・職業訓練」
「開発・貧困」
「保健・医療」
「飢餓・災害」
「環境」
「農業・漁業」
「人権」
「政策提言 ・ 調査研究」
「ネットワーク」
「平和・政治」
「経済」
外務省ウェブサイトより
ここからは、各活動内容ごとに簡単な解説をしていきます。
教育・職業訓練のNGOと活動内容
まずは、もっとも多くのNGO団体が取り組む「教育・職業訓練」について解説します。
NGOの5割ほどが「アジア」で活動しており、3割弱が「アフリカ」で活動しています。そうした国々では学校へ行けない子どもなど、教育格差もあり、読み書きができない子どもも多いです。NGOは、そうした子どもへの「就学支援」や「ノンフォーマル教育」を行っています。
※ノンフォーマル教育とは、学校でのフォーマル教育とは異なり、学校以外の場で学ぶことをいいます。
教育ではソフト面だけでなく、学校を建設したりとハード面の整備をする団体もあります。
子どもへの教育だけでなく、そうした国々では青少年が仕事をして収入を得られるように「職業訓練」や「適正技術」を伝えるプロジェクトも実施されています。
以下、具体的なNGO団体の取り組みを紹介します。それぞれの団体のボランティア募集リンクもつけているので、関心ある団体があればチェックしてみてください。
教育・職業訓練に取り組むNGO:国境なき子どもたち(KnK)
国境なき子どもたち(KnK)は、1997年に日本で設立された国際協力NGO。団体名の通り、「国境を越えてすべての子どもに教育と友情を」というビジョンのもと、カンボジア・フィリピン・パキスタン・ヨルダン・バングラデシュ・パレスチナ・日本などで子どもへの教育機会提供といった事業を行っています。
フィリピンやカンボジアなどの国々では、ストリートチルドレンの子どもたちへノンフォーマル教育を行ったり、自立支援施設「若者の家」で、教育・訓練機会を提供したりしています。
▼国境なき子どもたち(KnK)のボランティア募集

教育・職業訓練に取り組むNGO:シャプラニール
シャプラニールは、1972年に活動を開始したNGOの中でも歴史のある団体です。
南アジアを中心に活動する団体で、バングラデシュでは「初等教育支援」を行っています。貧困層の子どもたちを対象に教育支援を来ない、子どもの就学率の向上などの成果につなげています。
▼シャプラニールのボランティア募集

教育・職業訓練に取り組むNGO:アイキャン
子どもへの教育支援だけでなく、青少年への職業訓練を行うことで、技術や知識を身に着けて安定した収入を得られるようにする活動です。アイキャンはフィリピンで技術訓練を行い、貧困の連鎖から脱出する仕組みを作っています。
▼アイキャンのボランティア募集

開発・貧困のNGOと活動内容
開発・貧困の事業には、農村開発・地域開発・都市開発があります。特に、農村の貧困や栄養不足の改善へ「農村開発」に取り組むNGOが多いです。農村エリアだけでなく都市部でも貧困・格差が広がっていることから「都市開発」に取り組む団体もみられます。
開発・貧困に取り組むNGO:日本国際ボランティアセンター(JVC)
国際協力NGOで歴史の長い団体の一つであるJVCは、地域開発や平和構築、人道支援、災害被災地での活動などをおこなっています。
JVCは、地域開発(農村開発)を通じて、「農(山漁)村に暮らすに人々が安心して豊かに生きることができる」ように様々な取り組みをしています。多くの人が農村で暮らしているラオスでは、農業など自然の資源とともに生活を成り立たせるため、「生計改善のための農業技術研修」を行ったり、「自然資源の持続的な管理・利用」を目指して地域の住民と共に活動をしています。
▼日本国際ボランティアセンター(JVC)のボランティア募集

開発・貧困に取り組むNGO:ハンガー・フリー・ワールド(HFW)
HFWは、地域開発を通じて「飢餓のない地域をつくる」ことを目指しています。ぜい弱な立場にいる人々の「食料への権利」の実現のため事業を行い、地域の住民自身が課題を解決できるようになるように導きます。
活動地の一つであるバングラデシュでは、「女性の能力強化を通じた食料摂取と栄養の改善、持続可能な農業の推進などの住民の能力強化」などを実施。ベナンでは、「3歳未満児の栄養改善、青少年・成人対象の識字教室、幼稚園運営、母子保健センター運営」などの事業を実施しています。
▼ハンガー・フリー・ワールド(HFW)のボランティア募集
保健医療のNGOと活動内容
保健・医療支援や「栄養問題」「公衆衛生」「給水・水資源」などの活動が実施されています。
保健医療に取り組むNGO:保健医療NGO シェア=国際保健協力市民の会
保健医療NGOとうたうシェアは、人が心身ともに健康に暮らせる社会を目指し、“いのちを守る人を育てる”保健医療支援活動を行っています。東ティモールでは、独立前の1999年から保健ボランティアの育成や学校保健の推進を、現地の人々と共に行ってきました。
▼シェア=国際保健協力市民の会のボランティア募集

保健医療に取り組むNGO:ミャンマー ファミリー・クリニックと菜園の会(MFCG)
MFCGは、医師である代表を中心に、ミャンマーの人たちが、自分たちの手で生活環境の課題を解決し、命を育む未来を描ける社会を実現するため、巡回診療(移動クリニック)や保健衛生の向上、栄養を賄うための家庭菜園作りを実施しています。
▼ミャンマー ファミリー・クリニックと菜園の会(MFCG)のボランティア募集

環境のNGOと活動内容
環境分野では、「環境教育」や「植林・森林・海洋の保全・生物多様性」「気候変動・温暖化対」などの活動が実施されています。
環境の取り組むNGO:国際環境NGO FoE Japan
FoE Japanは「地球規模での環境問題に取り組む国際環境NGO」。気候変動や石炭火力の問題などに対して、調査や政策提言を行い、イベントやサイトでの発信を通じて市民へ伝え、アクションを起こす活動をしています。
▼FoE Japanのボランティア募集

環境の取り組むNGO:公益財団法人オイスカ
オイスカは、アジア太平洋を中心とした開発途上国を活動対象地として環境保全活動などを行っています。その一つとして、「子供の森」計画を各国で行っています。このプロジェクトは、子どもたちが苗木を植えて育てていくというもので、体験しながら学ぶことができ、地域の緑化も進めるという活動です。スリランカやフィリピンなどで実施しています。
また、インドネシアではマングローブの植林も行っています。
▼FoE Japanのボランティア募集
人権のNGOと活動内容
人権NGOの活動では、「差別・格差の是正」や「社会参画」「ビジネスと人権」「リーガルエイド」があります。
リーガルエイドとは、貧困層で裁判の費用を払うことができない方々へ、弁護士が無料で法律相談を行ったりすることです。
人権に取り組むNGO:ヒューマンライツ・ナウ(HRN)
ヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、法律家、研究者、ジャーナリスト、NGO関係者などが主体となって世界で確立された人権水準を国内外で実現するための人権NGO。「女性の権利」や「子ども・少女の権利」「ビジネスと人権」などの人権テーマで調査や政策提言を行っています。
また、人権イベントも定期的に開催し、人権問題の理解を広げる取り組みも展開しています。
▼ヒューマンライツ・ナウ(HRN)のボランティア募集
まとめ
NGOの活動は幅広く、地球上のあらゆる社会課題に様々な角度から事業を行っています。同じ地域で長く活動する団体もあれば、災害や紛争、政府の方針など社会情勢によって活動を柔軟に変化させながらミッション達成に向かっています。
最後にNGOの活動のゴールは「活動がなくなること」です。
あらゆる貧困や格差、差別、環境破壊がなくなること。
少しでも早くNGOが必要なくなるような社会をめざしていくために、
いまは、一人ひとりの市民参加が求められています。
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