ウクライナ避難民の課題は「統合(インテグレーション)」。日本でも4人に1人が日本を離れた

ウクライナ避難民調査レポート 社会課題

国際NGOプラン・インターナショナル(以下、プラン)は、G7諸国に避難したウクライナ避難民の現状に関する調査レポートを2月19日に発表。ウクライナ紛争勃発から約3年が経過した現在も、多くの避難民が統合=インテグレーションにおける困難に直面している実態が明らかになりました。

G7諸国とは、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカ、日本の7カ国。ウクライナからの避難民は、EU諸国(フランス、ドイツ、イタリア含む)が最多で400万人を超える人を受け入れています。EU以外の日本などの国々でも避難民を受け入れているが、宿泊、雇用、住宅、医療、教育支援は国ごとに条件や困難が異なっています。

大量の受け入れ国では、初期支援が不足したり、受け入れの少ない国では初期支援は手厚くとも、その後の支援や統合に課題があったりと、各国それぞれにおいて、課題が明らかになっているようです。

日本では約2,700人超のウクライナ避難民を受け入れ、2024年11月現在は約1,980人が滞在しています。
支援内容としては、生活費支援、市営住宅提供、医療保険、日本語学習、就労・教育機会などがあります。しかし2024年に生活費支援が終了した避難民もおり、帰国や他国に移動する人も出てきています。一時的な延命措置となってしまっているため、「自立・長期定着」には、就労・住宅支援強化、日本語教育・資格取得支援など、より継続的な支援が必要です。

また、イタリア、ドイツ、フランスでは生活環境への不満も強く、一部では差別的な対応を受けた事例も報告されています。

プランは、こうした現状を踏まえ、G7諸国に対し、避難民の社会統合を促進する施策の強化を提言しています。具体的には、専門スキル取得支援や資格認定制度の簡素化、住宅支援策の充実、メンター制度による生活支援、異文化理解を促すプログラムの推進などが挙げられています。

避難民自身も自立し、新たな社会で前向きに生活を築きたいと願っています。そのためには、各国政府や地域社会が一体となり、長期的視点に立った支援体制を整えることが求められます。