ガザに広がる飢餓、人道支援の限界に、115の国際NGOが緊急声明「封鎖解除と即時停戦を各国政府に強く要請」

国際NGO115団体が、ガザの飢餓に対する共同声明 国際協力団体

2025年7月23日、115の国際NGOが連名で、ガザ地区で深刻化する飢餓と人道危機に対する緊急声明を発表しました。イスラエルによる封鎖と軍事行動により、現地では支援物資が届けられず、命をつなぐ最低限の生活すら困難な状況にあります。

声明では、国連主導の人道支援体制の復活、全陸路の開放、即時かつ恒久的な停戦を各国政府に求めています。これは、現場で命を救おうとする人々の切実な声と、今まさに危機に瀕している200万人の生活を救うための叫びです。

スポンサーリンク

ガザの現状:命をつなぐ手段が断たれている

パレスチナ・ガザ地区では、イスラエル政府による封鎖が続くなか、人道支援の最前線に立つ職員までもが食料配給の列に並ぶような異常事態が起きています。支援物資は到着しているにも関わらず、それを届けるルートが封鎖されているため、現地の人々の手には届かず、配給所は空になり、医療も崩壊。飢えと病に苦しむ人々の中には、食事を得るために銃撃の危険を冒さざるを得ない状況もあります。

現地で活動するあるNGOの代表は、「今日、私は食事をとれるだろうか?」——その問いがガザ中で繰り返されていると語ります。

NGO115団体が共同声明:今こそ各国が動く時

このような危機的状況を受けて、世界各国の115の非政府組織(NGO)が共同で声明を発表しました。

声明は、以下の主張を中心に構成されています:

  • 封鎖の即時解除
  • 国連主導の人道支援の再開
  • 全ての陸路の開放
  • 即時かつ恒久的な停戦の合意
  • 軍主導の支援モデルの拒否

これらは単なる要望ではなく、命の危機に直面している市民に支援を届けるための「最低条件」であると、声明は強く訴えています。

支援ルートの遮断が招いた悲劇

陸海空をすべて封鎖されたなかで、特に問題視されているのが、支援物資の輸送ルートが遮断されている点です。ガザの外や一部地域には、食料・水・医療品・燃料が保管されているにも関わらず、現地への搬送が許可されていません。その影響で、食料を求めて配給所に並ぶ人々が攻撃される事件が頻発しています。

国連の発表によると、2025年7月13日時点で875人のパレスチナ人が食料を求めるなかで殺害されました。中には、物資の運搬ルート上で命を落とした人も含まれます。

WFPも警鐘:「支援活動は不可能」

国連食糧計画(WFP)は、ガザでの人道活動が「不可能」な状態にあると明言。封鎖と軍の移動命令によって、200万人以上のパレスチナ人が、ガザ全体のわずか12%の地域に押し込められ、密集状態で生活を強いられています。

衛生環境は劣悪で、ごみは山積み、病気が蔓延し、子どもたちは深刻な栄養失調に苦しんでいます。支援団体によると、「子どもたちは“天国には食べ物があるから天国に行きたい”と親に言う」ような状態になっており、これは単なる飢餓ではなく、精神的な破壊でもあるといいます。

人道支援従事者も被災者に:援助の現場が崩壊

現場では、人道支援団体のスタッフすら飢えに苦しみ、家族を養えなくなっています。支援物資がありながらも届けられず、団体内部ですら必要な物資を分配できない事態に陥っており、「援助する側」と「支援を必要とする側」の境界線が消えつつあるのが現状です。

声明では「人道支援の仕組みは、偽りの約束では機能しない」と警鐘を鳴らしています。各国が政治的合意や手続きの進展を待ち続けている間にも、命が失われ続けているのです。

軍主導の支援ではなく、国連主導の原則ある支援を

現在、イスラエル政府が管理する「ガザ人道財団(GHF)」という新制度が導入されています。しかし、これは実効性に乏しく、現地での変化が見られないため、各団体は疑問を呈しています。

声明では、軍主導の支援モデルではなく、国際人道法と中立性に基づいた国連主導の人道支援体制の再開を強く求めています。

断片的な援助では救えない命

一部では空中投下や限定的な支援合意などが報じられていますが、NGOらはこれを「実効性のない象徴的ジェスチャーに過ぎない」と批判しています。こうした断片的対応では、200万人に及ぶ市民の命を守ることはできないのです。

声明は「今、救える命を救わなければならない」と呼びかけ、封鎖解除や物資の供給に向けた具体的かつ迅速な行動を国際社会に求めています。

【まとめ】希望をつなぐために、今求められる行動とは

ガザ地区の状況は、すでに「人道危機」という言葉では語り尽くせないほど深刻です。食料、水、医療、そして安全な生活環境が失われ、未来への希望すら失われつつあります。

115の国際NGOが発表した今回の共同声明は、単なる抗議ではなく、命を救うための最終通告とも言えます。各国政府や国際機関が、この声にどう応えるのか——今後の対応が問われています。

市民一人ひとりの声や関心もまた、国際社会に行動を促す原動力となります。今、私たちが見過ごしてはならない危機が、そこにあります。