国際識字デー「読み書きができない約7億8千万人」

国際協力団体
(c)KeiSATO

日常生活での読み書きができない人(非識字者)は、アジアやアフリカを中心に15歳以上で約7億8100万人いる。「識字」の重要性を伝えるために、ユネスコは9月8日を国際識字デーと定めた。読み書きができないと、安定した収入を得られる職業につくことが難しい。選挙で投票ができなかったり、薬の説明が読めずに命の危険が生じることもある。人が生きていく上で多くの損失があるのだ。

持続可能な開発目標(SDGs)では「すべての人に公平で質の高い教育機会を提供する」という目標が掲げられ、世界中で多くのNGOがアジアやアフリカの国々で識字率の改善に取り組んでいる。

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アジア最貧国の一つへ教育支援キャンペーン

ケア・インターナショナルジャパンもアジアやアフリカで教育プロジェクトを展開している国際NGOの一つだ。アジア最貧国の一つ、東ティモールへは、毎年「スマイルギフトキャンペーン」を実施し、学習するための教材が少ない農村部へ学習雑誌「ラファエック」を製作し届けている。

ラファエックは学校でも使用されていて、読み書きや生活で役立つ情報を学ぶことができる東ティモールで唯一の学習雑誌だ。今年のキャンペーンでは1万冊を届けることが目標だ。

東ティモールには一日約2ドル以下の貧困ライン以下で生活する人が約40%いるが、そのうち約85%が農村部で暮らす人々だ。都市部と農村部での格差は深刻で、共通語であるテトゥン語の識字率も都市部で81%、農村部では45%と東ティモール財務省が発表している。

ケアはラファエックを届けることで農村部の人々が読み書きを覚え、貧困の改善につなげることを目指している。

識字率の向上へ取り組む草の根の活動

識字率向上への取り組みが国際的に始まったのは1990年。ユネスコなどが主催した「万人のための教育(EFA:Education for All)」では、「成人非識字率の半減」や「初等教育の完全普及」が目標として掲げられている。しかし、2000年に18%だった非識字者は2015年の見込みでは14%までしか減少していない。

識字率を上げることは一朝一夕にはいかない。長期的な視点で取り組んでいく必要がある課題だ。ケアは、東ティモールへラファエックを届けるだけでなく年6回ほどワークショップも実施して198人の人たちへ教育機会を提供している。国際NGOの草の根の活動は一つ一つは派手ではないが、少しずつ人々の暮らしを改善している。

しかし、本当にすべての人に教育機会を提供する世界を目指すには今のままでは難しいだろう。国際識字デーを機に、多くの人が世界の現状に目を向け、行動する人が1人でも増えることが重要だ。それが課題解決の近道になる。