避難所での授乳、たまるストレス、育児中の母親にも配慮を

育児中の母親にとってプライバシーのない避難所生活は授乳のときなどストレスもたまりやすい。長引く可能性のある避難所生活は、高齢者や障がい者だけでなく、赤ちゃんのいる母親たちにも周囲からの配慮が必要だ。救援に携わる人やボランティアの人たちは、東日本大震災のときに役立てられたマニュアルを活用し、適切な対応をしていきたい。

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避難所での母乳育児の場合

避難所では、子どもの夜泣きで他の人に迷惑がかかると肩身が狭い思いをしたり、授乳スペースがなく、ストレスをためてしまったりする母親も多い。熊本地震では、赤ちゃんのいる母親が、避難所には入らずに車で避難生活をする人もいる。母乳育児の場合、ストレスがかかると母乳の出が悪くなってしまう。母乳は、栄養価が高く、赤ちゃんの免疫力を高めるなどのメリットが多いことなどから、母乳育児を継続したいと思う母親は多い。

注意すべきことは、そのような母乳育児中の母親に、「安易に人工乳を進めないこと」、「母親には授乳で必要な分も考えて、十分な食料を提供すること」などがある。周りの人にできることは、リラックスできる環境を整えてあげることだ。

避難所での人工乳の場合

一方、人工乳で育てている場合は、ミルク、哺乳瓶、きれいなお湯などの物資が手に入らないことが深刻な問題となる。ミルク以外のものを口にできず、大人に比べ免疫力が弱い赤ちゃんに、優先的に必要な物資を届けてあげる心遣いが大切だ。

避難所に赤ちゃんがいる母親を見つけたら、授乳、おむつ替えのスペースを作ったり、母親同士のコミュニティを作ったりすることが必要だ。

避難所で授乳中の母親を守るには

●小さな赤ちゃんのいるお母さんが集まって安心して授乳したり、励まし合ったりできるスペースを確保する
●プライバシーが守られた場所で授乳ができるような配慮をする
●授乳のために特別な場所を確保できない場合には、人目に触れずにすむようなバスタオル、スカーフ、大判の風呂敷などの大きめの布を貸し出す

(災害時の母と子の育児支援 共同特別委員会「被災者の救援にあたっている方へ」 から抜粋)
https://goo.gl/dxRgEI

母親のケアでは、専門家の助産師や医師に相談することも大切だ。熊本地震発生後、熊本市にある「由来助産院」は、フェイスブック(FB)上で、避難所にいる母乳育児中の母親をサポートするために、「一緒にケアしてくれる助産師!ご連絡下さい!今こそ出番です」と呼びかけている。

同院は、困っている母親からの情報や、おむつやミルクなどの物資も集めている。️物資が集まり次第テイクフリーマーケットを開催すると発表している。東日本大震災では、オムツ、おしりふき、ミルク、ミルトン、哺乳瓶、女性用ナプキン、子供服などが不足した。
由来助産院ウェブサイトはこちら

避難所では、乳幼児や母親と出会うこともあるだろう。助産師のように専門的な知識がなくても、話を聞き、相談に乗ることはできる。マニュアルをもとに、避難所でも安心していられる場所を整備することもできる。子どもがいるだけで避難所が明るくなったという声は東日本大震災でも多数あった。何が求められているかを知ると共に、東日本大震災の教訓を振り返ることも「いまできることだ」。
快適母乳生活研究所「災害のときの母乳育児」