ダイバーシティ&インクルージョン8つのキーワードとは

サステナブルブランド国際会議人権

SDGsを掲げて、「女性活躍推進や、時短などの働き方改革」だけやっているところがある。ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)に力をいれいる風だが、表面的な取り組みで止まってしまっている。D&Iが企業の生命線ともいわれる今日、それだけでは、この先「取り残されてしまう」だろう。SDGsに、D&Iに、本気で取り組むならば、ウェルビーイングや・・・など8つのキーワードを軸に取り組むことが重要だ。

2月19日、横浜で行われた「サステナブル・ブランド国際会議2020」。午後のセッションではダイバーシティ&インクルージョンをテーマに、4人のユニークなパネリストが白熱した議論を行った。

サステナブルブランド国際会議2020

ファシリテーターを務めたのが、グロウス・カンパニー・プラス代表取締役の山岡仁美さん。パネリストは、慶應義塾大学教授の前野隆司さん、NPO法人FDA 理事長の成澤俊輔さん、資生堂ダイバーシティ&インクルージョン室長の本多由紀さんだ。会場は立ち見で溢れるほど注目を集めていた。8つのキーワードがスライドに映し出されると、ほとんどの人が写真を撮っていた。

「ウェルビーイング」体も心も社会的にも良い状態

8つのキーワードの一つが「ウェルビーイング(well-being)」だ。幸福とも訳されることがある。体も心も、社会的にも良い状態をいう言葉だ。

「幸福学」研究で知られる慶應大教授の前野さんは「幸福感の高い社員の創造性は3倍、生産性は31%、売上は37%高い」という研究があることを示した。さらに幸福度が高い従業員は欠勤率・離職率も低いという。

力でものをいうようなハラスメントでは人は育たない。人を育てるにはあらゆる人が生き生きと働けるようにエンカレッジすること。ウェルビーイングを高めることが、その人のためにも、会社のためにもよい結果をもたらす。

コンパッション・エンゲージメント・エンパワメント

前野さんは「結局、利他なんです」と言った。「私たちは死ぬまでお互いにケアしあって生きていく。自分のことだけ考えているのはむしろかわいそう。時代の犠牲者です」。

会社の仲間や取引先への思いやり(コンパッション)や、社員への思い入れ(エンゲージメント)、相手を信じてエンパワメント(力・権限の譲渡)することも重要なキーワードだ。

資生堂の本多さんは、ラベンダープロジェクトを紹介した。がんサバイバーの生き生きとした表情を撮影し、ポスターにして公開するものだ。「化粧の力で人々を元気にしたい。自信をなくした人、何かがきっかけでできなくなった人、もう一回やってみよう。化粧という行為を通じて火を灯すことができる」と語る。

抗がん剤による後遺症で、顔に大きなあざがある人がいた。あざの部分に化粧をすると、その人の表情が変わっていった。「化粧は外見のケアだけでなく内面のケアにもなるんです」。その人は、あざがあり電車で人の目が気になったが、化粧によって、前向きに電車に乗ろうと思うように変わった。

ポスターは約200枚作成し、社員ボランティアは約250人が参加した。「社員はこのプロジェクトに参加することで、自分の仕事に対して勇気や自信、誇りを持つことができました。化粧というビジネスが本来人々に何を伝えてきたのか。社員が成長するきかっけになったんです」。

「マイノリティ」は際立つ個性、「マジョリティ」は沈む均一性

マイノリティと聞くと少数派、社会的弱者のように受け取る人もいる。だが、本来はマイノリティは際立つ個性であり、マジョリティは沈む均一性といえるだろう。

世界一明るい視覚障害者と自分を紹介するNPO法人FDAの成澤さんは、「できないことが増えるとできることが増える。弱みと強みは表裏一体です」と話した。

講演や人前で話すときには不安や緊張がある。だが、それは目から入った情報で他人と比較をするから。目が見えない成澤さんは緊張することがないという。

前野さんは「幸せと多様性には相関がある」という。「友達が多様な方が幸せに寄与するという研究があります。多様性の高いチームはイノベーティブでよりよい世界になるんです」

ワークライフバランスではなく「ワークインライフ」という言葉もある。仕事が中心ではなく、生きることの中に仕事があるという発想だ。成澤さんは「できることを積み重ねる時代は終わりました。努力は夢中には勝てないです」と語った。