国連総長が失望した「COP25」、環境NGO3団体がたっぷり解説ーー「野心強化・抜け穴・日本の石炭問題」

COP25 環境・農業
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アントニオ・グテーレス国連事務総長が失望したと言うCOP25は、どのような成果と課題を残したか。環境NGOらが14日、東京のイベントで注目のポイントを解説した。200人定員の会場は満員となり、パリ協定への関心の高さが感じられた。

「国連気候変動枠組条約第25回締約国会議」、通称COP25は昨年12月にスペインで開かれた。会議の目的はパリ協定を実施するためのルールブック作りの仕上げだ。だが、今回のCOPは「野心強化のCOP」ともいわれた。

野心強化のCOP

パリ協定は2020年に実施段階へ入る。しかし、現在各国が掲げている国別目標(NDC)では不十分であることを、昨年国連環境計画(UNEP)がギャップレポートで指摘した。気温上昇1.5度どころか2度未満にもならない。

2020年は国別目標の再提出が義務付けられている年だ。パリ協定とのギャップを埋めるためには、各国目標の引き上げからは逃れられない。COP25では、「削減目標強化のメッセージを出せるか」が焦点の一つとなった。

だが、残念ながら日本も含め大量排出国は野心的な目標引き上げの意志を示さなかった。最終的な成果文書のメッセージは以下だ。
「各国による2020年までの取り組みと、パリ協定の目標との間に重大な乖離があることを強調。各国に対し、2020年に国別目標を再提出する際に、その乖離を検討し、『可能な限り最高の野心』の反映を目指すことを要請」

WWFジャパンの山岸尚之さんは、このメッセージを「まどろっこしいメッセージで落ち着いてしまった」と指摘する。グテーレス事務総長もTwitterで「失望した」というメッセージを発信した。

だが、グテーレス事務総長は「あきらめない」とメッセージを締めくくっている。本格始動する2020年。「今年も戦いは続いていく」と山岸さんも意志を示した。

気候野心同盟(Climate Ambition Alliance)も発足し、73か国が国別目標強化を宣言している。目標強化の文言を入れるべきと主張した以下のような国々もある。<EU、ベリーズ(AOSIS)、メキシコ、 グレナダ、ブータン(LDCs)、ノルウェー、コロンビア(AILAC)、アルゼンチン、ネパール、シンガポール、スイス、ウルグアイ、韓国、バングラデシュ、マーシャル諸島>

大人たちは抜け穴づくりに熱心だ

「気候危機に立ち向かうよりも、 大人たちはこのCOP25で “抜け穴作り”に熱心だ」と批判したのは、どんなVIPよりも注目を集めたグレタ・トゥーンベリさんだ。

COP25は「技術的なCOP」だと、WWFジャパンの小西雅子さんは言う。残されたパリ協定のルールを合意することが一番のポイントであった。その一つがパリ協定第6条「市場メカニズム」の合意だ。

争点となったのは「ダブルカウンティングの防止」。国外で実施した排出削減を自国の目標達成に活用できる制度がある。この制度では、両方の国が排出削減したと主張するリスクがある。小西さんは「現在の目標でも3度になってしまうのに、『抜け穴』を許すルールになると全体の排出削減量が減ってしまう」と指摘する。

もう一つ、昔のクレジットをパリ協定でも使用したいというブラジル・インド・中国の主張もあった。さらに「抜け穴」を許すことになり、多くの国は反対している。絶対に使わないようにするか、期限つきにするか、会期延長となるまで議論が続いた。最終的に6条合意は持ち越しになった。「抜け穴を作るくらいなら先送りにしてしたほうがいい」。次回COPは、排出量ゼロを目指すイギリスが開催国となるため、リーダーシップが期待される。

パリ協定の足を引っ張る日本の石炭

「化石賞」「コールジャパン」などと日本の石炭推進は多くの批判を集めている。COP開催期間に英フィナンシャル・タイムズ紙は、安倍首相を選手に見立て「コールメダル」を首からかけるイラストを描いた意見広告を出した。「このままでは気候変動とのレースに勝てないでしょう。なにもしないでいいのでしょうか?」と脱石炭を求めた。

「石炭中毒をやめなければ気候変動への努力は水の泡となる」とグテーレス事務総長も脱石炭を訴えた。それに対して、小泉進次郎環境相はCOP内で「石炭中毒は日本向けだと認識している」と発言した。気候ネットワークの伊与田昌慶さんは「環境大臣が、このように問題は分かっていると認めるということは新しい」という。

しかし、結局『今後も調整を続けたい』といっただけで、対策を示せなかった。「マドリードにも手ぶらで行ってしまった」と伊与田さんは批判する。

日本がとるべき今後の宿題は、現在の目標「2030年26%削減」を引き上げられるかだ。「全ての国が日本の目標となれば3度から4度になる。まったく到達しない」と伊与田さん。「最大限の野心を示さなくてはいけないのに、数字はさておきとはいっていられない。今年は脱石炭への政策転換、優先順位の引き上げをする最後のチャンスの年だ。国際社会は許さない。バッジをつけてもSDGsは達成しない。気候変動対策なしにSDGs実現はあり得ない」と語気を強めた。