「聴導犬」とは?全国に64頭。見かけたときの大事な心得

聴導犬とは 社会課題

聴導犬は、聴覚障害者をサポートする「身体障害者補助犬」です。「チャイムが鳴った」「車のブザーがなった」「お湯がわいた」など日々の生活を支えています。2020年10月時点で厚生労働省によれば全国に64頭。同じ補助犬の「盲導犬」は909頭と比べれば少ないです。なかなか出会う機会も少ないかもしれません。もし聴導犬と出会ったときに周囲が適切な対応ができるように知っておきたいことを説明します。

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身体障害者補助犬は三種

身体障害者補助犬

身体障害者補助犬法という法律で「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」の三種が身体障害者補助犬とされています。数も多く一番よく知られている盲導犬は視覚障害のある人のサポート。介助犬は肢体不自由のある人のサポートをします。

見分け方はそれぞれの着ている服です。盲導犬は「白または黄色のハーネス(胴輪)ハーネス」と呼ばれる器具をつけています。介助犬と書かれた青と黄色の服が特徴です。そして聴導犬はオレンジ色のケープをつけています。

聴導犬の役割

聴導犬の役割は「聴覚障害者に音を聞き分けて伝え、音源へ誘導すること」です。一般的な生活音はもちろん、火災報知機の音など危険を知らせる補助によって聴導犬ユーザーの命を守ります。

個人個人でやってほしいことも異なります。例えば、子どもがいる人は赤ちゃんが泣いても聞こえません。そこで聴導犬が鳴き声を聞いて知らせてくれます。聴導犬はユーザーにとって身体の一部であり信頼できる家族という人もいます。

音を知らせてくれるだけでなく聴導犬がいることで健聴者に「耳が聞こえない」ということを知ってもらう効果も期待できます。「耳が聞こえない」というのは見た目にはわかりません。そのため「日本語がわからないのか?」「無視された」などコミュニケーションがうまくいかないトラブルがよく起きてしまいます。しかし聴導犬がいることで見た目からわかるので、すぐに適切なサポートを受けることが可能です。

聴導犬を見かけたときの3つの心得

1)聴導犬には触らない。

道路や電車のホームなど様々な場面でユーザーの耳となり音を聞いています。そのため聴導犬を見かけても「触らない」「じっと見つめない」「話しかけない」ようにして集中できる環境をつくりましょう。温かく見守ってあげることが重要です。

2)放送などの具体的な内容を伝える。

温かく見守ることが重要な一方で、聴導犬は音を伝えることができても「具体的な内容」までは伝えられません。電車のホームでアナウンスがあったときに聴導犬を連れている人を見かけたら、筆談などでその内容を伝えてください。

話しかけるときは後ろから読んでも分からないので、正面から話しかけると気づきやすいです。それから口元を読み取れるようにマスクをしていたら外しましょう。

3)ペットではない。飲食店などでも受け入れよう。

聴導犬などの身体障害者補助犬は、特別な訓練を経て認定を受けています。ペットではなくユーザーの「身体の一部」であることを理解することが大切です。ペットとは違い施設や飲食店に同伴できることが法律でも定められています。補助犬を連れているユーザーが制約なくどこにでも行けるように周囲が理解することが重要です。