「海外経験がきっかけ」、国際交流NPOで働くキャリアの異なる3人の女性

2016/01/25 NPO・CSR ライター 辻陽一郎

活動先のドイツで家族と食事 左が山田さん


都内にあるNPO法人ICYEジャパンのオフィスには、毎年9月になると、ドイツ人やデンマーク人、コスタリカ人など外国人たちがやってくる。日本各地で長期ボランティアをするため来日したメンバーで、事前研修のためにオフィスを訪れたのだ。約10日間の研修を終えると、北海道の農場や滋賀の福祉施設などのボランティア活動地に出発する。

ICYEは、長期(半年〜1年間)で海外から外国人を受け入れる事業を行っていて、毎年約10人の外国人が世界10カ国から参加する。受け入れだけでなく、世界43か国に日本人ボランティアを派遣する事業も行う。異なる文化圏でボランティア活動をすることで異文化体験や国際交流をするプログラムを1958年から行っている。

団体を実務の面で支えるのは、3人の女性スタッフ。事務局長で長期派遣・法人営業担当の山田綾子さん、来日生受入担当の山代真希さん、短期派遣担当の福士純子さんという3人の女性スタッフだ。3人は、ICYEで働くまではまったく異なる人生を送っていたが、長期の海外経験という共通点がある。

●会社員からドイツでのボランティアを経てNPOスタッフに
 山田綾子さん

山田さんは、ICYEで働く以前は、一般企業で業務用エアコンの営業事務をしていた。あくせく働くなか、大学時代にやり残したことが心にひっかかっていた。ドイツ文学科で学んでいたにも関わらず、部活をしていたことでドイツ留学に行く機会を逃してしまったことだ。

就職して、3年半が経つ頃、ついに会社を辞める決心をした。辞めた後は、学生のときに行けなかったドイツに行くことに決めた。留学でも良かったのだが、ドイツで何をするかを考えていたときに、偶然ICYEの存在を知り、海外ボランティアに興味をもった。「絶対にドイツでこれがやりたい!というものがなかったので、いろいろなことができそうなボランティアという選択肢は魅力的だった」。

ICYEのプログラムで行ったドイツでは、約1年間を過ごした。ボランティアといっても特別なスキルが必要な訳ではない。ドイツの小学校で、アシスタントティーチャーとして、毎日働き、学校が休みの時期には障がい者のバケーションキャンプで子どもをサポートする活動を行った。

「長期で滞在すると、その地に暮らす感覚になるので、その国のいいところも悪いところも好きになれる」と山田さんはドイツでの経験を話す。「ドイツの良いところは、シンプルにいられるところ。日本人とは幸せの基準が違うなと感じた。大人になってもたき火をして、川で無邪気に遊ぶことができるところはすごいと思う」。

ICYEのプログラムの魅力は、国際交流を通じてその国の文化を知ったり、異文化に触れることで視野を広げたりできるところにある。

「日本とは異なるドイツの働き方・生き方を見て、再び一般企業で働く生活は送ることをためらっていた時に、“NPOという働き方”を知った」という山田さんは、ドイツでの経験をきかっけに、お世話になったICYEで働くことに決めた。

●大卒でイギリス・メキシコでのボランティアを経験しICYEに就職
 山代真希さん

近年、社会人経験を問わず、能力があれば採用するNPOが増えている。スタッフのなかで一番若い山代真希さんもその一人だ。大学卒業後にメキシコとイギリスでトータル1年4カ月の間、海外ボランティアを経験。その後、日本に戻ってからはNPOで働きたいと思い、NPO養成講座も受講した。海外ボランティア経験があったことでICYEでインターンをするようになり、その後面接を経て、就職することになった。

「NPOの仕事は給料も多くないし、いつどこにいても対応が必要な仕事もあり大変なこともあるが、若い人の人生の選択肢を増やしたいと思いながら働いている」と、仕事のやりがいを話す。

ICYEのプログラムは、現地に住んで、ボランティアとして働き、現地の人と衣食住を共にするなかで、その社会の一員になっていく。この異文化での経験によって、相手を理解することや視野を広げることを学び、この経験一つひとつが平和へとつながっていく。「国際交流は、国際協力の一つの分野だと思う」と山代さんは、海外ボランティアの意義を語った。

●ボランティア経験はないが、デンマークの縁でICYEと出会う
 福士純子さん

「私は、ボランティア経験がない。北欧に滞在していた時、日常的にボランティアをする人たちが多く、アフリカやインドに行く友人もいたが自分はやったことはなかった」と話す福士さん。自分がまさかNPOで働くとは思わなかった。

ICYEを通じて、日本にボランティアで来る外国人は、デンマーク人の割合が大きい。福士さんは、北欧を行ったり来たりする生活を送っていたが、日本での仕事を探していた頃に、知人からデンマークと関連のある団体としてICYEを紹介された。北欧に関わる仕事に関心があった福士さんは、この偶然の出会いを機に、ICYEへ就職することになった。

ボランティアやNPOのことはほとんど知らなかったが、現在は、女性3人楽しく働いている。長期での海外経験が根っこにあることで、異なるキャリアを歩んできた3人だが、同じ方向へ進むことができているのだ。

「1年行くと変わる」と事務局長の山田さんは言う。「行く前と帰ってきたときの顔が全然違う。そこを見られる仕事だからおもしろい」。長期で海外を経験するからこそ、見えてくる景色が変わってくる。これから先、ICYEの海外ボランティア経験をきっかけにNPOで活躍する人たちが出てくるかもしれない。

■ICYEアルバム
icye5
事務所での仕事の様子 左が山代さん
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来日生初めて日本で弁当を買う
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来日生ボランティア中
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ボランティア先のケニアにて

■ 団体名:特定非営利活動法人 国際文化青年交換連盟日本委員会(ICYE ジャパン)
■ 設立:1958年
■ 有給職員数:3名
■ 所在地:東京都新宿区北新宿1-7-21 高澤ビル901号室
■ TEL:03-5389-5041
■ Website:http://www.icye-japan.com


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2016/01/25