障がい者も安心して町に出られる社会作りに必要な「ガイドヘルパー」とは?

左奥がガイドヘルパー森山さん(仮名)、右が田中さん(仮名)

ガイドヘルパー(移動介護従業者)は、障がいがある人の外出を支援する制度だ。東京都大田区でガイドヘルパーの派遣を行うNPO法人風雷社中は、「障害を理由に選択肢が減ることなく、安心して町に出て、自分らしく食事や遊びなどを楽しむことができる社会作り」を目的に活動している。

6月某日知的障がいのある田中智さん(仮名)と、ガイドヘルパー森山弘之さん(仮名)の外出を取材した。ガイドヘルプは基本的に1対1で行う。田中さんは、制度を活用し週に5回ほどジムやプールへ行ったり、散歩をしたりする。森山さんは、田中さんの外出支援を始めて1年半ほど経つ。最近では、プールへ出かけることが多い。

「田中くんは、肥満があるから、出かけることだけでなく、プールで健康増進することも目的。身体の大きい彼を1人でケアすることは大変。ガイドヘルパー制度を活用することはお母さんの息抜きにもなっている」と言う。週1回ほど継続して会うことで、単なる外出サポートではなく様々な事情も分かってくる。

■ガイドヘルパー制度で、地域の人と障がい者が出会う機会を増やす

田中さんの外出は、森山さんが家に迎えにいくことから始まる。お母さんに見送られて家をスタートし、駅まで歩いていく。途中で、お決まりの場所でご飯を買う。電車とバスを乗り継ぎ、目的地のプールまで行く。1時間半ほどプールを終えたら帰路につくというコースだ。

電車でプールへ移動中

電車でプールへ移動中

障がいの種類によってはルーチン的な行動を好む傾向がある。田中さんも同様で普段と違う行動を取りたがらない。しかし、森山さんは「ルーチンを変えていきたい」と言う。「障がい者がまちに普通にいる社会のためには、たくさんの人と出会わないと。同じ行動パターンだけでは広がらない」。

森山さんは、できるだけ自分の知り合いに紹介したり、ガイドヘルパーという仕事のことを話したりしている。一緒にご飯を食べにいくこともあるという。

元々は警備関係の仕事をしていた森山さんは、福祉にはまったく興味がなかった。「福祉の世界って、限られた空間で限られた人としか出会えない。その人の可能性を伸ばすには社会との接点を作っていかないと」。

風雷社中も「障害を持つ人たちと共に社会に参加していくこと。それを積極的に実践していくこと」というビジョンを掲げている。代表の中村和利さんは、「ダブルワークでいいのでガイドヘルパーをする人を増やしていきたい。障がい者が安心して街に出られる社会には、地域の人と障がい者が出会う機会を増やすことが必要」と語る。

■障がい者に寄りそい、地域のもつ可能性を広げていく

ガイドヘルパーの難しさもある。外出支援だから好きなことをさせてあげたほうがいいという意見もある。しかし、本当に障がいのある人が社会で安心して生きていくためには、障がい者と地域が変わっていく必要がある。

「可能性を伸ばすことと近所の鼻つまみ者になることは紙一重。障がいが理由でできないことがあるのはおかしいけれど、それで社会のはれものになってしまっては意味がない。彼の不利益を除くことが本当の目的」と森山さんは言う。

ガイドヘルパーを始めるには各都道府県知事の行う研修を修了することが必要だ。講習後、新任ヘルパーは3回ほど経験者に同行する。人と人とのことなので相性もある。単に外出を支援するだけではなく、難しいことではあるが、本当にその人にあった支援がなにかを判断することが大切だ。

知的障がい者は、サポートをしてくれる人がいないために外出を諦めざるをえないことも多々ある。ガイドヘルパーの目的の一つは、外出をサポートすることだ。だが、それだけではない。ガイドヘルパーが、障がい者と出会い、知り合うこと。障がい者が外に出て社会とのつながりを作っていくこと。このつながりが広がっていくことで、障害がある人もない人も、地域のなかでお互いに安心して共にいられる環境を作ることができるのだ。

■風雷社中ウェブサイト
http://fuu-rai.com/

■風雷社中 Facebookページ
https://www.facebook.com/fuurai.japan/

2016/07/03 NPO・CSR ライター 辻陽一郎

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2016/07/03 NPO・CSR ライター 辻陽一郎