「経済成長は本当に人を幸せにするのか」、JVC35周年イベント開催

2015/09/27 NPO・CSR ライター 辻陽一郎


9月25日、「世界から中心をなくそう」、「経済成長は本当に人を幸せにするのか」をテーマに、JVC(日本国際ボランティアセンター)は35周年記念シンポジウムを開いた。JVC代表理事の谷山博史さんは、35年という節目の日に、改めて経済成長至上主義に異論をとなえる必要性があったと言う。ちょうど1週間前に安保法制が可決されたためだ。「安保法制を問うことは、経済と暮らしのあり方を問うことだ」と谷山さんは言う。

■ 豊かな暮らしを問う

政府によれば、安保法制は、石油を安定的に確保するためにも必要な法だという。資源の少ない日本では、海外から多くの資源を輸入している。いまと同じような生活を続けていくには、石油は必要不可欠。そのために石油がなくなるリスクを避ける必要がある。つまり、日本人の豊かな暮らしを守るために、安保法制が必要ということなのだ。谷山さんが強く言うように、安保法制のことを考えるとともに、日本人一人ひとりが自らの暮らしを見直すことが求められている。

イラク戦争のときも自衛隊が送り込まれた。派遣にはさまざまな理由があるが、石油と天然ガスの利権に参入するためにアメリカとイラクに同調する必要があったとも言われた。

パネリストとして登壇した、幸せ経済社会研究所所長の枝廣淳子さんは、「全ては経済のためにと、経済が宗教になっている」と述べた。「ありとあらゆることが経済にプラスかどうかという判断基準」。

経済にプラスになれば、暮らしの豊かさのためには、戦争を選択しても、自衛隊を派遣してもいいのだろうか。

谷山さんは、JVCが活動してきたカンボジアの事例をあげた。「カンボジアでは、国の実施する農民の土地収奪が深刻化している。経済活動促進や、外貨獲得のためだとしているが、現実には農民の総収入は、8年前と比較して2.7倍にも拡大しても、格差はそれにも増して広がった。JVCは、農業研修を中心に支援を行ってきて、一定の成果をあげたが、格差の拡大には歯止めがかかっていない。GDPでは成長しているが、富の偏在、貧富の格差は広がっている」。

IMG_6743
もう一人のパネリスト、高坂勝さんは「日本で使っている資源の87%は海外からもってきている。食べ物を輸入しているということは誰かの土地を奪っているということ。奪う豊かさがあるということは、奪われる貧しさがある」と、現代の暮らしの問題をあげた。高坂さんは、この課題と向き合い、成長しない店をコンセプトに、2004年から「Organic BarたまにはTSUKIでも眺めましょ」を営んでいる。

■ 成長の限界、経済成長から抜け出すには

経済成長は必要だとしても、このまま続けていくことはできないことは誰もが分かっていること。人口増加が続く中で、水・土地・森林・化石燃料は枯渇していて、地球温暖化も手に負えない状況になっている。世界中が、経済成長を求め続けるかぎり、どんなに魚が小さくなっていても、最後の一匹まで取り続けなくてはいけなくなる。

では、どれくらいのレベルが適度な生活と言えるか。『成長の限界』という本では、持続可能となる将来のシナリオに、「世界中で子供の数を2人に制限」して人口を抑えること、それから、「世界中の一人あたりGDPを世界全体の10%高いくらい」にすれば可能だとしている。貧しさに苦しんでいる地域は、もう少し経済成長をして、豊かすぎる暮らしをしているところは、暮らしのレベルを下げる。

谷山さんは、我々が、関係性の中に生きていることも強調する。「日本では、世界がどうなっているかという認識が薄い。世界と自分との関係が全く見えていない。ある途上国では、日本のティッシュをまかなうために農民から土地を奪い、木を植えているのだ。日本人は、関係性の中で自分が加害であるということを知らない」。

■ 世界から中心を失くそう、キーワードは「地域循環」

「なにをもって自分の生き方として、それでよしとするか。支出を少なくすることで、豊かなものが入ってくる。経済成長の名のもとに、無駄なお金を使っている。大量消費のものは買わなければ、小さい営みが可能になる」と、谷山さんは未来に向けてのメッセージを伝える。

「JVCにとって、この10年で大事なテーマは、地域循環。土地の資源や農作物、労働力、そして知恵を、地域のなかでどうやって循環させて、豊かになっていくのかが、これからの課題だ。地域が自分たちの資源を持つことで初めて、地域同士のネットワークも実現する。大きくなくて良い。一つひとつが等身大で、一つひとつが中心となればいい。一つひとつで解決できないときはネットワークを作ればいい。私たちが中心だから中心は要らない。世界から中心をなくそう」。

NGOのゴールは、課題が解決されて、団体を解散することとよく言われる。JVCの35周年イベントも、団体が継続したことには決して浮かれないNGOらしいイベントだった。


ボランティアやNPO/NGOについて詳しく相談!

記事を読んでNPOやボランティア活動に興味をもった人、ボランティアの始め方が分からない人、どういうボランティアが他にあるか知りたい人、一度ボランティアコーディネーターにご相談ください。メールでお返事します。NPOやNGOに関わってみたいけどどうしたら良いか分からないなど、どんな質問でも構いませんので、お気軽にフォームからご相談ください。個人の方は無料でご相談を受付けています。

2015/09/27