「情報格差は解消すべきか?」(1)

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情報格差は、個人が努力して解消すべきだという意見をときどき聞くが、私はそう思わない。そもそも情報は、固有財ではなくて、共有財であるべきだからである。

世の中には、誰も知らない情報を切り売りする、つまり、情報の非対称性を利用したビジネスがある。念のためだが、専門性の高い知識を必要としている職業は、情報ではなく、知識やノウハウをビジネスの種にしているのであって、この情報の非対称性には当てはまらないことを付け加えておく。この非対称性が存在する場合と、存在しない場合のどちらが、社会全体でどのような価値を持つかということをざっくり計算してみた。

例えば、通常100円の製品が、ある方法を使うと20%引きになる。この情報を持っている人は、ある方法を使って、20%割引の80円で購入できるので、20円得することになる。この情報をオープンにした方がいいのか、クローズにした方がいいのか、以下のようにステークホルダーごとに計算してみた。(ステークホルダー=会社、顧客)また、「顧客価値価格」という製品のもつ価値に見合った価格を仮として定義してみた。「顧客価値価格」が実際の購入価格より、上回っていれば、お得な買い物と言えるし、そうでなければ、損な買い物と言える。ここでは、「顧客価値価格」は、100円とする。

◆情報をクローズにした場合(顧客全員が割引を知らなかった場合)
     (価格)   (売上個数)
会  社:100円 × 1,000個 = 100,000円の収入
     (顧客価値価格)(価格)  (購入個数)
顧客全体:(100円 - 100円)× 1,000個 = 0円の満足

合計で、100,000円の価値が生まれたことになる。

◆情報をオープンにした場合(顧客全員が割引を知っていた場合)
 (売り上げが、1.5倍になったと仮定)
     (価格)   (売上個数)
会  社:80円 × 1,500個 = 120,000円の収入
     (顧客価値価格)(価格)  (購入個数)
顧客全体:(100円 ー 80円)× 1,500個 = 30,000円の満足

合計で、150,000円の価値が生まれたことになる。

情報をオープンにした方が、社会全体の価値が増加することが、感覚的に理解できると思う。実際は、こんなに単純にいかないだろうけど、このようなWin-Winの関係を築けたり、シナジー効果を産み出したりするケースが多いようだ。

したがって、情報は、オープンにした方が、特定の人に利益が集中して格差が生じることがなく、GNPなどの社会全体の財産が増えるので、国民のような広い観点で見た場合、情報はオープンにして、情報格差は解消した方が、望ましい。

伊藤 芳浩
1970年岐阜県生まれ。名古屋大学理学部卒業後、日立製作所にて、基本ソフトウェア系の開発を経験後、新規事業立上げに関わり、現時点は、Webマーケティング・プロモーションを担当。自分自身、聴覚障害者であり、当事者としての経験を踏まえて、情報格差解消のためのNPOインフォメーションギャップバスターを2011年に設立し、横浜国立大学などで「情報格差問題」「情報リテラシー」関連のセミナーを多数実施。「ダイバーシティ」「エンパワーメント」「合理的配慮」などのテーマでも講演。
NPO法人インフォメーションギャップバスターウェブサイト

2016/10/20 NPO法人インフォメーションギャップバスター理事長 伊藤 芳浩

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2016/10/20 NPO法人インフォメーションギャップバスター理事長 伊藤 芳浩