情報格差とは?格差の原因となる5つのギャップ

インフォメーションギャップバスター 社会課題

巷では、4年ぐらい前は、インターネットのせいで情報格差が、最近は、Twitterのせいで、情報格差が生じていると言われている。情報格差について、本格的に話を進展させる前に、そもそも、情報格差って何?というところを確認したい。

情報格差の格差とは、多←→少、高←→低のように、対となる状態が発生する状態のことである。このキーワードでは、その差異(Gap)に注目し、多くの場合、問題提起を行っている文脈で使われることが多い。

情報格差とは、以下が原因で生じると考えている。

・組織・人脈のつながりの強弱
・地理的な遠近
・メディアの特性の差異
・メディアリテラシーの差異
・情報リテラシーの差異

組織・人脈のつながりの強弱:血縁関係や利害関係などで、人間は他人とつながっているが、そのつながりの多さ(情報源の多さ)があるかどうか、また、情報の流れが多いところに属しているかどうかなど。

地理的な遠近:都会と地方とでは、人口密度などの関係で情報の伝播に差異がある。

メディアの特性の差異:利用しているメディアが、インターネットのように瞬時に広範囲に伝わるものか、書籍のように伝わるのに時間がかかるものかというように差異がある。

メディアリテラシーの差異:情報伝播するメディアを扱いこなせるかどうかによって差異が生じる。

情報リテラシーの差異:メディアの中から必要な情報を取捨選択できるかどうかによって差異が生じる。

メディアリテラシーと情報リテラシーは似ているが、何をどうするかという点で異なっている。メディアリテラシーは、メディア(ツール)の使い方、情報リテラシーは、自ら考えて、選び抜く能力と意味が異なっている。

これらの根本を探ってみると、上の3点は、伝播に時間的な差異が生じる原因となっている。その時間的ギャップが、情報格差につながっている。これらは、政策上でクリアすべき問題と考えている。

その次の2点は、情報やメディアといった単位の扱い方に対する教育が不十分であったという問題点を浮き彫りにしており、教育などの手段でクリアすべき問題と考えている。

情報格差の解決方法については、また今度機会があった時に記事を書いてみたい。

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本当の意味での情報格差とは?

日本では、情報格差というと、デジタルデバイドを指すことが多い。情報格差というキーワードで検索をすると、インターネットやテレビなどのデジタルメディアによる格差のことを取り上げている内容が目立つ。

もちろん、デジタルメディアによる格差はそれで存在しうるでしょう。しかし、根本にあるものは何なのかということには案外目がいっていないことが多いのではないでしょうか。

まず、最近の家族構成の変化に注目する必要があります。

戦後、高度経済成長のころから、徐々に従来の大家族が崩壊し、核家族化してきました。それとともに、地域コミュニティが衰退の道を歩み始めました。これによって、家族の中での会話、近所との会話が著しく減少しました。しかし、家族や近所との会話は、人間にとって生活上必要不可欠のものです。

Face to Faceの会話は、インターネットやテレビとは違って、生の情報をもたらしてくれます。デジタルメディアでは伝えきれない表情や人間臭さを伝えることができます。会話による伝播は、本と同様にアナログメディアです。

コミュニケーションのウェイトがアナログメディアからデジダルメディアにシフトするにつれて、適応できない人が増えてきています。同時に、アナログメディアを使いこなせる力も衰退していて、人間関係にストレスを感じることなどにより、精神病を疾患する人も増えてます。

本来は、人間はアナログメディアを最低限必要としてます。それが少なくなると精神的にバランスを壊してしまう。デジタルメディアが増長することにより、そのバランスを壊してしまうことが一番の原因です。

デジタルメディアの世界でメディアリテラシーを向上させるのも重要ですが、アナログメディアを使うメディアリテラシーというか、これまで以上にヒューマンスキルを磨くことが、今後は必要になってきます。

端的に言えば、昔の良き日本を取り戻すこと。そのための取り組みがこれまで以上に重要になってくるはずです。

筆者 NPO法人インフォメーションギャップバスター理事長 伊藤 芳浩

1970年岐阜県生まれ。名古屋大学理学部卒業後、日立製作所にて、基本ソフトウェア系の開発を経験後、新規事業立上げに関わり、現時点は、Webマーケティング・プロモーションを担当。自分自身、聴覚障害者であり、当事者としての経験を踏まえて、情報格差解消のためのNPOインフォメーションギャップバスターを2011年に設立し、横浜国立大学などで「情報格差問題」「情報リテラシー」関連のセミナーを多数実施。「ダイバーシティ」「エンパワーメント」「合理的配慮」などのテーマでも講演。
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