情報保障を広げよう、誰でも平等に情報を得られる社会に

2015/11/03 NPO・CSR ライター 辻陽一郎


あなたが最近参加したイベントやセミナーに情報保障はあっただろうか?私は取材などでNPOのイベントなどに参加することも多いが、ほとんど用意されていない。そもそも情報保障という言葉さえ知らない人も多いだろう。聴覚や視覚など身体的なハンディがある人は、情報を取得することができないことがある。誰でも平等に情報を取得できるように、代わりの方法を用いて情報提供することが、「情報保障」だ。

「手話通訳」は目にしたことがあるだろう。学校の卒業式や入学式などで手話通訳者が壇上に立っていることも多い。ただ、意外に思う人もいるだろうが、聴覚障がい者の中には手話を知らない人もいる。補聴器をつけていれば言葉をある程度聞き取れて、読唇ができる人なら、日常生活では問題なく会話ができるので、なおさら手話を覚える必要がなくなってくる。

しかし、面と向かって話していれば問題はないが、大勢に向かって話すイベントや学校の授業などは、情報保障がないと聞き取ることは難しい。情報保障で手話があっても分からないので、このときには、「要約筆記」の手法を用いる。ノートテイクやパソコンテイクとも呼ばれるが、要は話していることの要点をまとめて聴覚障がいのある人にリアルタイムに見せていくという方法だ。パソコンテイクの場合は、ペアで行うことで、内容全てをタイプすることも可能だ。

この要約筆記が多くの場で導入されたら、手話を知らない聴覚障がい者も手話のできる聴覚障がい者も全員に情報保障ができる。けれども、導入にはコストも手間もかかるため、なかなかすべてのイベントには難しいとされている。手話通訳は一人いればできなくはないが、どちらにしてもコストがかかるため、一般的に開かれているイベントでは情報保障のあるイベントはほとんどない。情報保障ないことで聴覚障がいのある人は、そういった場に出なくなり情報格差が広がっていってしまう問題が出てくるのだ。

NPO新聞でも、イベント情報を発信しているが、それを見て行きたいと思っても、情報保障がなければ、聴覚障がい者は何を
言っているか聞こえず、視覚障がい者はスライドや資料が分からない。どんなに興味のある内容でも、何も分からずどうすることもできない。

ある聴覚障がいのある就活中の学生が、「就活セミナーに行ったけど、全然聞こえなかったから資料だけもらって帰ってきた」と残念そうに話していた。能力がどれだけあっても聞こえないだけで、人生を左右する就活がしたくてもできないのが現状だ。

情報保障は、一般的には、聴覚障がい者へのサポート方法として使われるが、視覚による情報取得が困難な視覚障がい者などへの情報保障もある。「点字」や「文字情報の音声化」「音声ガイドの利用による画像情報の音声化」などによって、画像映像作品や美術作品の情報が伝えられる。

情報保障とは、人間の「知る権利」を保障するもの。情報格差は人の活躍する場を妨げることにもつながる。だからこそ、イベントやセミナーを企画する人たちは、できるだけ情報保障を提供してほしい。全ての人に情報が提供され、全ての人が平等に参加できる場を作ることが、これからの多様性の時代に求められてくることだ。


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2015/11/03