障がい者の「合理的配慮」をどう考えるか

2017/09/18 NPO・CSR ライター 辻陽一郎


障がい者の日常生活での「合理的配慮」はどう考えればよいのか。渋谷区で知的障がい者支援を行うNPO法人「渋谷なかよしぐるーぷ」の浦野耕司さんは16日のイベントで合理的配慮を次のように語った。

「誰かが無理をして、誰かに合わせることではなく、誰もが暮らしやすくなるための、その人に合わせた心配り。ですから、正解はもちろん一つではありません」

障がい者差別解消法が2016年4月に施行され、学校や企業などの事業者に、「障害を理由とする不当な差別的取り扱い禁止」と、「合理的配慮の提供義務」が課された。

義務化によって、対策をとるところも増えてきてはいるが、依然として車いすや盲導犬連れの人がレストランへの入店を断れるなどの事態は少なくない。

■合理的配慮は障がい者だけのことなのか

「渋谷なかよしぐるーぷ」では知的障がいのある人とガイドヘルパーが一緒に街中に出かける外出支援を行っている。外出する中で日常生活のさまざまなハードルが浮かび上がってくる。

障がい者も安心して町に出られる社会作りに必要な「ガイドヘルパー」とは?

例えば、電車に乗るとき、切符はガイドヘルパーが買う。もちろん、できることは障がい者自身がやるのだが、電車は乗り換えが複雑で、売り場のタッチパネルの操作も難しい。手帳で子ども料金になるところもあり操作がさらに複雑になるので、ガイドヘルパーがチケットを買うことが多い。

ただ、電車のチケットは、障がいのある人に限らず、外国人や電車に乗り慣れていない旅行者にも分かりづらい。切符売り場で困っている人を見かけたことがある人も多いだろう。

スマホの乗り換え検索機能は進化しているが、スマホをもっていない人たちには複雑だ。外出するハードルとなってしまっている。

レストランでも文字だけのメニューだと分からないので注文ができない。ファミレスのようなイラストつきのメニューであれば注文できるという。

「合理的配慮とは障がい者に限ったことではない。ちょっとした心配りで、みんなが生活しやすくなる。写真付きのメニューも知的障がい者にも便利であれば、外国人にも役立つこと」と浦野さんは語った。

合理的配慮をどうするか考えるとき、障がい者向けの対策とすると難しくなるかもしない。だが、外国人に分かりやすいように写真つきのメニューにすれば障がい者への配慮にもなる。その逆もある。

■障がいのある人との混ざり合う地域社会のために

浦野さんは知的障がいのある人たちは「いろいろなことに気を使っている」という。イベントに登壇した知的障がい者の一人は「街中で道を聞くときは、人に聞くよりも交番に聞く」という。周りの人に協力を求めづらいため、絶対安心できる交番のような場所を頼りにする。

イベントには、渋谷なかよしぐるーぷとつながりのある4人の当事者が参加していた。合理的配慮は企業や学校だけが考えるのではなく、地域社会という単位の一人ひとりが意識することが大切だ。

障がい者が安心して街に出られる社会には、地域の人と障がい者が出会う機会を増やすことが必要だ。参加した人たちと当事者が出会うことは、障がい者も健常者も混ざり合う地域社会作りのきっかけとなっただろう。


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2017/09/18