子どもの教育格差を失くすには「大学生ボランティア」が不可欠

2016/11/18 NPO・CSR ライター 辻陽一郎

学習指導の様子


勉強したくても塾に行くお金がない。授業についていけないことを相談できる人がいない。子どもたちにはどうすることもできない家庭環境や経済的な理由で勉強する機会に恵まれない「教育格差」という社会問題。

東京葛飾区や墨田区には困難な状況にある子どもたちを対象にする学習支援教室がある。そこには、子どもたちに向き合い、教育格差を真剣に解消しようと実践する大学生ボランティアたちがいた。

■経済格差を教育格差にしないために

学習支援を行うNPO団体はたくさんあるが、NPO法人Learning for All(LFA)が運営する教室で教える大学生ボランティアは少し違う。毎週土曜日の3時間の授業のために、50時間の研修を受け、授業の前後にはロールプレイングや振り返りを数時間かけて行う。授業で子どもたちと過ごす時間よりも準備にかける時間の方が長い。

真剣に研修に取り組む様子

真剣に研修に取り組む様子


一人ひとりの子どもに向き合い、個々の理解に合う教材を作成したりと、子どもの未来を少しでも変えられるような授業をできるように悩みながら考え行動している。

日本では6人に1人の子どもが、経済的な理由で教育を十分に受けられない。 教育格差は、将来の貧困につながることがある。所得の低い職に就くことでその子どもたちも困難な状況になるかもしれない。負の連鎖が続いていく。

この連鎖を断ち切るために、LFAの大学生ボランティアたちは、自らのスキルをあげる努力を続ける。それは、授業の手法だけではなく、子ども一人ひとりの特徴を理解し寄り添うためのスキルでもある。

子どもたちはさまざまな困難を抱えている。「貧困」や「勉強ができない」といったレッテルを貼られてしまうことにより、自信をもてなくなることもある。子どもたちの可能性を信じて、人生をサポートすることが教師の役割だ。

■大学生のボランティア教師は50時間の研修を受ける

「大学生には担任制で責任をもって子どもの人生を変えるという意識をもってもらいます」とLFA広報担当の栗本恵理さんは説明する。「研修では子どもの心の奥にある意図を汲み取るということを伝えます。子どもの少しの行動も見逃さずに、いろいろな見立てをできるようになってもらいます」。

ボランティア教師

ボランティア教師たち

ボランティアは年4回募集をする。夏の短期集中プログラム以外は、3ヶ月ずつのスパンで事前・中間・事後と合わせて50時間の研修を行う。学習教室は毎週土曜日。年間を通して200名以上のボランティア教師が参加する。ボランティアはステップアップが可能で、教師を経験した学生は、教師のメンター役や、7カ所ある拠点のマネージャーを目指すこともできる。

■「教育格差」を理解し、子どもと向き合う人を育てる

一人親家庭が増え、地域との関係も薄れ、非正規雇用が増加するような今の日本社会では根本的に「教育格差」を解決することは難しい。しかし、LFAのように目の前の子どもの未来に明かりを照らす大学生が増えることで希望は生まれる。

大学生は、ボランティアとして子どもと出会い、社会課題に直面する。当事者でない限り本当に困っている子どものことを理解し、向き合える大人は多くない。だが、教師経験をしてから社会に出ることで、子どもの抱える社会の課題を理解し、子どもと真剣に向き合える大人が増えていく。

彼らが教師やNPOセクター、民間企業など幅広いセクターで活躍することで、多様な角度から子どもの貧困に取り組むことができる。中長期的な視点で社会を変えることにつながるかもしれない。

子どもたちは何にでもなれる可能性がある。その可能性を生まれてきた環境だけで制限してしまっていいのだろうか。子ども一人にとっても、日本社会全体にとっても不幸なことだろう。日本社会はこれからなにができるかが今、問われている。


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2016/11/18