鹿の影響などで千年続く「春日山原始林」が危機ーNPOが保全対策

1000年余り守られてきた「春日山原始林」に危機が迫っている。世界遺産、国の特別天然記念物にも指定される貴重な森林だ。危機の要因には観光客にも親しまれる「シカ」の存在があった。

▪️春日山原始林の魅力

古来から、春日山原始林は「神の山」として信仰を集める場所だった。約1000年前には、入山・伐採・狩猟が禁止されたことで都市部の近くにありながら自然の姿を守ってきた。

樹齢何百年という巨木が至るところにあり、さまざまな種類の植物や生き物が生息する。原始林には遊歩道があり、散歩する人や運動する人など地域の人からも自然を感じられる場所として親しまれてきた。

しかし、よく見ると立ったまま枯れている巨木がある。木の根元がはげていたり、地面に草が生えていない場所がある。このままの状態が続くと、若い木が育たず多様な生態系を維持できなくなる。倒木や土砂崩れの危険もある。

▪️シカとの共生が課題

奈良といえばシカ。公園でシカにせんべいをあげることが定番だ。奈良のシカは人々に親しまれる一方で、春日山原始林の危機の要因の一つとなっている。

森林では一般的に、巨木が倒れると若い木に光が差し世代交代が進んでいく。しかし、今の春日山原始林では次世代の木々が育たないことが大きな問題となっている。下草や木々の新芽、若い木をシカが食べてしまうためだ。

奈良のシカは天然記念物に指定されている。シカを排除するのではなく、どうやってシカと共生していくかが課題だ。県は、NPO法人春日山原始林を未来へつなぐ会と協力して、柵を設置するなどの取り組みを進める方針がある。

▪️5ミリの虫が樹木を枯らす「ナラ枯れ」の拡大

シカともう一つ、重大な問題が「ナラ枯れ」だ。体長5ミリほどの虫が樹木に住みつき、病原菌ナラ菌を持ち込み、木を枯らしてしまうのだ。太く育った木を好むため、巨木が多くある春日山原始林で被害が広がっている。

ネットを張ったり、虫を捕まえるわなをしかける対策や、殺菌剤を注入する取り組みも始めている。

▪️春日山原始林を未来につなぐ

春日山原始林を未来へつなぐ会は、ナラ枯れの対策に森林をしらみつぶしに歩き回って拡大を抑制する取り組みなどの保全活動を行なっている。さらに、こうした問題を知ってもらうための普及・啓発活動も実施する。

だが、課題ばかりではなく、魅力を伝えるための観察会や研修会、校外学習などを行い、春日山原始林を知ってもらう機会も増やしている。

未来につなぐといっても地道な作業だ。豊かな春日山原始林を未来の子どもたちにつなぐために今、がんばらないといけない。

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2018/02/26 NPO・CSR ライター 辻陽一郎

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2018/02/26 NPO・CSR ライター 辻陽一郎