山梨で自給自足生活、ピースフルライフワーカーの加藤大吾さん

2014/10/16 NPO・CSR ライター 辻陽一郎


東京から山梨へ移住し、現在はNPOの運営やエコツアーを手がける「ピースフルライフワーカー」の加藤大吾さんがゲストの「エコツアーカフェTOKYO」に参加した。主催はNPO法人エコツーリズムセンター。加藤さんの暮らし方に魅力を感じる人、田舎暮らしになんとなく興味がある人、都会でずっと生きてきた人、人生の舵をどっちに切るか迷っている人、さまざまな気持ちをもった人たちが夜の渋谷に集った。参加費は500円1ドリンク付き。

加藤さんは、現在は山梨県都留市に拠点をかまえているが、地元は東京。最初は東京で働いていた。その後、長野で自然学校を立ち上げたが1年ほどで東京に帰ってきた。

ある雨の日。「あっ雨のにおいが長野の森の中とぜんぜん違うぞ。」と感じた。そして次の日。「あっきょうは土を踏んでいないぞ。」とはっとし、土の上で生活していた長野のほうが自分が充実していたことを思い出した。自分の娘の成長のことも考えたときに、「ここじゃないな、引っ越そう!」と決め、今は家族や動物たちに囲まれながら土の上で暮らしている。

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山梨では、畑作業を行う。これは僕の畑と、畑には見えないくらい荒れている場所の写真を見せた。「いかに手をかけないかをコンセプトにやっている畑がこれ。もうひとつの畑は、家族全員の夏の分の野菜をまかなえるくらい採れるように、手をかける畑。2つのタイプの畑があります」。

日常生活のなかで、田んぼは家から遠いから毎日通うことは難しい。そうすると通常採れる80%くらいしか収穫できない。一方で、手をかける畑では20種類くらいの作物が採れる。

「うちの田んぼは水が濁っているんですよ。除草剤を使わないことで虫や藻がたくさん現れる。このなかで生態系、食う・食われるの関係が動いているのです。つまりうんちをしてくれるやつらがいっぱいいるということ」。

加藤さんが話す農業の話は、小難しくなく、現場ならではの具体的な話が多いので初心者も興味を理解しやすい。「小麦をまくときに最初は荒っぽく、花咲か爺さん蒔きをしていたんですよ。そうしたら50%くらいしかとれなかった。今は筋を作って蒔いているがそんな蒔き方でもとれるじゃないかというのが発見だった」、自ら試行錯誤して手法を編み出している姿に、農業の面白さが伝わってくる。

「ぼくらはお米も良いとこしか食べていないので、そうじゃないところや藁は、にわとりや羊にあげる。さらに、動物たちの食べなかった部分は小屋の床に残ってうんちとまざって発酵し、やがて土になっていく。うちの小屋が臭くないのは、床自体を発酵させるようにデザインしているから。発酵して徐々に土になったものを田んぼや畑に返してやるんです」と、藁の使い方によって循環農法のサイクルを作り出した。

農業をはじめるときに気になるのが、生活費、暮らしていけるのかどうかだ。加藤さんの家の家計簿を紹介する。「まず、家賃は自分たちで建てたからかかりません。初期費用でかかった分が200万円ほど。娘の部屋や羊小屋もすべて自分たちで建てています。工夫して自分でやれば平均世帯の40%くらいの支出で生活できます、電気はソーラーパネルで、毎月2000円くらい。ガスはプロバンガスの地域だが、管理費を払わずに、自分でガス屋さんへ行っているので、月1000円ほど。食事は主要作物を作っているので、平均世帯の30%ほど。灯油は薪ストーブの分はかからないが、お風呂は灯油を使っているので平均世帯の50%ほどです」。

日常生活の食事は、ほとんど自給したものを使う。採れたての作物で作った、できたての食事を食べるというのが最高の贅沢。「小麦を7日間天火で乾燥させたものを粉引き機に入れて粉にする。この全粒粉を飼っている、にわとりの卵と混ぜてパンケーキにしてその場で食べるのが最高においしい」。

家族もこの暮らし方を自然と楽しんでいる。娘たちは薪ストーブの薪を切り出しにいくときは手伝ってくれる。また、にわとりの世話をして卵を売るのは長女の仕事だ。「お父ちゃん、こんど誕生日でしょ。何買って欲しい?って娘が言うんです。もしかしたら長女の方が稼いでいるのかもしれない」と苦笑した。

今は自給暮らしをしたり、多様な仕事をしながら楽しく幸せに暮らしている。ところが、あるときJICAの研修でフィジーから外国人が視察にきたときがあった。25人くらいの大所帯で、日本のハイテクノロジーの世界を見学しにきた。珍しい事例を見に、加藤さんの家へきたという。

「なんだここは、おれのおじいちゃんの家と同じじゃないかと。テレビもないし、薪ストーブだし、なんなの」と山梨の加藤さんちを見て、フィジーの人は驚く。「じゃあなにがあったら幸せになれるの?」と、加藤さんが聞いた。そうすると、家族とか手作りのものがいいとか、伝統を大事にしたいねとか色々な答えが出た。

「じゃあどういう国づくりしたいの?」これを聞くと激論が起こった。日本という技術の進んだ国にいて、東京から引っ越してわざわざ不便な生活をしている加藤さんちをみて、自分たちがどういう未来に向かって開発をしていくのか。自ら循環のなかに暮らしをおくということ、生態系の中に暮らすということを自問自答して実行してきた加藤さんは、今、地球の仕組みをうまく使って自給していくということを実感して生きている。

これからは、自分だけが幸せに暮らすのではなく、「ピースフルライフワーカー」として、外国人や全国からのエコツアーを受け入れ、自らの暮らしを体験してもらい、「幸せな生き方」を伝えていく。

○イベント詳細
エコツアーカフェ ”地球に暮らす”というプログラム”
http://www.ecotourism-center.jp/article.php/cafe_tk141016
次回以降のプログラム
http://www.ecotourism-center.jp/staticpages/index.php/project04#tokyo

○加藤大吾さんについてもっと知りたい方はこちら
かとうさんち http://www.earth-c.info/index.html

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2014/10/16